改選前に議論再燃 東彼杵町議会の定数削減

 4月の統一地方選で改選を控える長崎県東彼東彼杵町議会で、議員定数11を削減する議論が再燃している。15日閉会の定例会では定数を8に減らす条例改正案が否決されたが、削減推進派の議員は新たに定数を10に減らす案を29日の臨時会に発議。町議選(4月16日告示、21日投開票)で無投票の可能性が浮上する中、議論の行方が注目される。
 定例会では森敏則議員が議員定数削減と合わせて、議員報酬を5万円増額する条例改正案を発議。統一地方選を前に、若手や女性の立候補を促す狙いがあった。採決では森議員に加え吉永秀俊、岡田伊一郎、立山裕次、大石俊郎各議員が賛成する一方、堀進一郎、前田修一、口木俊二、浪瀬真吾、橋村孝彦各議員が反対し、5対5の同数に。最終的に後城一雄議長が裁決で否決した。
 議員定数削減の議論は、2015年の改選後に2回持ち上がったが、いずれも賛否が同数で、議長裁決で否決になった。推進派は「奇数定数の弊害。議長の裁量権が大きくなっている」と問題視。森議員は定数を10に減らし、議員報酬を10%増額する改正案をあらためて提出した。推進派の4議員も賛成者に名を連ねている。
 推進派が定数削減にこだわる背景には、町議選で無投票の観測が強まっている状況がある。19日に開かれた町議選立候補予定者説明会に出席したのは定数と同じ11陣営。森議員は「議員の資質を担保するためにも選挙戦は必要。なんとか告示前に定数削減を実現したい」と強調する。
 発議は29日の臨時会で審議される予定。しかし賛否拮抗(きっこう)の構図は変わっておらず、再び否決となる可能性もある。反対派の橋村議員は「多様な意見を吸い上げる議会機能の低下を招く」と立場を崩さない。「(若手世代の議員報酬を上げる改正条例が、なり手不足解消につながらずに廃止した)北松小値賀町議会の例もある。地方議会共通の課題は簡単には解決しない」と切り捨てる。

議員定数削減の条例改正案が再び発議された東彼杵町議会の議場。無投票の可能性もある町議選への影響が注目される=東彼杵町

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