ドローン輸送へ実証実験 五島・奈留島ー前島

 長崎県五島市の奈留島-前島間で27日、小型無人機ドローンによる輸送網の整備を目指した実証実験があった。定期便の少ない二次離島の利便性向上を目的とした市の事業の一環で、見学した前島の住民からは実用化に期待する声が上がった。
 事業は、市が2018年度から取り組む「ドローンi-Landプロジェクト」。将来的に市中心部の商店街などから、各島へ日用品や食料を届けられる物流体制の構築を目指している。
 実験場所は奈留島南西部の港から前島の港までの約500メートル。機体は複数の回転翼が付いた「マルチコプター型」と、ヘリコプターのような形の「シングルローター型」を使用。いずれも事前に設定されたルートに基づいて自動で飛び、薬やドーナツを運んだ。一方、固定翼付きの「e-VTOL型」は風が強い時は飛行できないなど、運航が天候に左右される課題も浮かび上がった。
 ドローンが前島に運んだ物資を、さらに個人宅まで届ける状況も想定し、陸上を自動で走るカートで米を運ぶ実験もした。
 前島の住民も実験の様子を見守り、対岸の奈留島から飛んでくるドローンの姿を見つけると「来た来た」と喜んでいた。道脇広美さん(69)は「今は買い物や通院も一日がかり。早く実現すれば、年を取っても前島に暮らし続けられる」と話した。

対岸の奈留島から到着したドローン(上)を見守る島民ら(手前)=五島市、前島
米を載せた自動走行カートの到着を待つ島民(左)=五島市、前島

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