新幹線、委員長「全線フル前提」JR 早期整備求める 長崎ルート

 九州新幹線長崎ルートで未着工区間の新鳥栖-武雄温泉の整備方式を話し合う与党検討委員会が27日、東京都内であり、出席したJR九州の青柳俊彦社長が全線フル規格での早期整備をあらためて求めた。委員から異論はなく、山本幸三委員長は会合後、記者団に、検討委として全線フルを選択する可能性が高いとの認識を示した。
 検討委は全線フルかミニ新幹線での建設を検討している。山本委員長は全線フルでの整備について「委員の中は『当然でしょう』という雰囲気であり、ある意味それを前提に考えて議論していくことになる」と記者団に述べた。6月を目標に方向性をまとめ、8月末の政府予算の概算要求に関連経費を盛り込むことを目指している。
 整備方式を巡っては、佐賀県が多額の負担が生じるとして両方式とも難色を示している。事態打開には同県の負担軽減が鍵を握るとみられる中、会合ではJR九州が国に支払う線路使用料(貸付料)の徴収期間を現行ルールの30年間からさらに延ばし、同社の負担を増やすべきだとの意見が出た。これに対し青柳社長は「負担額は整備方式が決まった後に決まるもので、今は議論する段階にない」と述べるにとどめた。
 また、全線フルで整備した場合、並行在来線の運行を同社が続けるかどうかには「整備方式の決定後、真摯(しんし)に検討する」とした。山本委員長は中身を具体的に詰めるよう求めたという。
 検討委は4月中をめどに長崎、佐賀両県からも意見を聞く。全線フルを求めている長崎県の中村法道知事は27日、国土交通省や自民党本部を訪れ、早期に整備方式を決めるよう要望した。

九州新幹線長崎ルートの暫定開業までに周辺再開発が進む諫早駅=諫早市永昌東町

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