事件現場に医師出動 県警、4月運用開始へ

医療チームの運用に関する協定の締結式 =県警本部

 県警は4月、負傷者が出る恐れのある立てこもり事件などの現場で、医療チームを待機させる運用を始める。救急搬送前に応急処置を施し、容体の悪化を最小限にとどめる狙い。県警によると、同様の取り組みは警視庁と千葉県警に続いて全国で3例目という。

 医療チーム「IMAT」を構成するのは、横浜市青葉区の昭和大藤が丘病院。24時間体制で県警の要請を受け付け、医療機材を積んだ専用車で急行する。医師1人と看護師2人の計3人が基本だが、想定される負傷者の規模に応じて変更する。

 県警はバスや船で乗客が人質に取られた場合など、けが人が出かねない事件での出動を見込む。現場では気道確保や止血といった応急処置のほか、治療の優先順位を決めるトリアージなどを行う。先行する他都県で派遣事例はないという。

 県消防課によると、県内での119番通報に対する救急隊の平均到着時間は8分強で推移している。心肺停止状態に陥ると、時間の経過とともに救命率は下がるとされ、同院の医師は「病院で待つのではなく、現場に出て行く医療が増えている」と話す。

 27日には横浜市中区の県警本部で、運用に関する協定が結ばれた。県警の古谷洋一本部長は「高度の医療処置が可能となり、現場の警察官はより事件対処に専念できる」とし、高橋寛院長は「救命率を高めるために全力を尽くしたい」と述べた。

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