「高輪ゲートウェイ駅」命名に反対署名が約5万人 でもJRは「駅名変えません」のなぜ |久田将義

高輪ゲートウェイという駅名を撤回してください!

「何だよ、『たかなわげーとうぇい』?って」
誰もがそう突っ込んだのではないでしょうか。山手線内、品川駅と田町駅の間に新駅ができます。JR東日本が新駅名を公募したところ、1位「高輪」、2位「芝浦」が選ばれず、決定したのは、130位の「高輪ゲートウェイ」。

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これに異を唱えたエッセイスト・イラストレーターの能町みね子さんが「三、四分で決めました」とネットで反対署名活動を開始します。この、言ってみれば「反射神経」での能町さんの考えに、たくさんの人が賛同。みるみるうちに、署名が集まり、2019年3月27日現在で47930件ということです。

一般の方の賛同だけで終わりませんでした。その後、飯間浩明さん(国語辞典編集者)、今尾恵介さん(日本地図学会「地図と地名」専門部会主催)、小林政能さん(境界協会主催)、杉内由佳さん(立正大学非常勤講師)らで「山手線新駅の名称を考える会」が作られました。

署名を踏まえてJR東日本担当者に面会。その後、3月27日東京・渋谷「LOFT9」にて記者会見を行いました。

公募した理由も教えて欲しい

結論を言うと、JR東日本は「高輪ゲートウェイという駅名の撤回はない」という回答だったそうです。

JR山手線と言えば、東京都の主要都市を走る環状線として東京都民ならずとも近郊の神奈川、千葉、埼玉県の住民なら、必ずと言ってよいほど利用したことがある非常に大事な路線です。

山手線に限らず、駅名はその地域の特性を表す風情あるものが多い訳です。山手線では「日暮里」「鶯谷」「高田馬場」「池袋」「原宿」など地名と由来があるものが多いです。多いというより、ほとんどです。駅名・地名は文化や言葉を大事にしようという精神の表れと言って良いでしょう。

署名には、鵜飼雅彦氏(港区議会議員)、カンニング竹山氏(お笑い芸人)、ギュウゾウ氏(パフォーマー・「電撃ネットワーク」メンバー)、楠原佑介氏(地名研究家・「この駅名に問題あり」著者)、小池康雄氏(小池企画印刷「港区・メリーロード高輪」)、笹原博宏之氏(早稲田大学教授)、清水ミチコ氏(タレント)、デヴィ・スカルノ夫人(タレント)、森田喬氏(法政大学名誉教授・日本地図学会会長)など著名人が賛同しています。

JR東日本のような大企業が、一度決めたことを撤回するのはまずないと思われますが、能町さんもその点は百も承知で「イベントなどでの草の根」で今後も訴えていく予定です。
「高輪ゲートウェイ駅」はぶっちゃけで言ってしまうと、ダサい。風情がない。地名を大事にしていない。ひいては日本の文化を大事にしていないと思います。

駅名の撤回というのとは少し違いますが、僕が育った東急田園都市線には「二子新地」という駅があります。子供のころは「二子新地前駅」でした。それが、僕ら子どもが車内アナウンスが流れる度に「双子死んじまえ、だって」と笑っていた結果、「二子新地」に改名しました。

「高輪ゲートウェイだって」とクスクス笑われないよう、もうちょっとセンスのある名前、誰からも(100%は無理だとして)「まあいいよね」ぐらいの名前を付けられなかったのでしょうか。公募の意味がありません。能町さんがLOFT9で言っていたように、かつてJRは「E電」と呼ばれようとしていましたが、「ダサっ」という雰囲気の元、今は誰も言っていません。

「高輪ゲートウェイ駅」にもそういう冷ややかな空気が流れるような気がしてまりません。(文◎久田将義)

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