日産の軽「デイズ」が6年ぶりのフルモデルチェンジ|“技術の日産”総動員で軽市場のシェア拡大を狙え

日産 新型DAYZ(デイズ)

日産が成長著しい軽の勢力図を塗り替える!?

日産 新型DAYZ 報道発表会の様子

日産の軽自動車「デイズ」が、約6年ぶりのフルモデルチェンジを実施した。新型デイズではプラットフォーム(車台)やエンジン、CVTに至るまで全てを刷新。軽自動車初のプロパイロットやSOSコールを採用するなど、話題は盛りだくさんだ。

昨今、国内市場では軽自動車の販売台数が年200万台弱もの規模に拡大。そのシェアは全体のおよそ4割をも占める。そんな中、先代デイズは約43万台を販売。スーパーハイト系「デイズルークス」と合わせ、軽市場の全体で日産が占める割合は10%前後という状況だ。

2019年3月28日に行われた新型車報道発表会の席で、日産自動車の星野 朝子 専務執行役員(国内担当)は『“技術の日産”が軽市場を変える』と堂々のGame Changer宣言。強豪がひしめく軽市場に向け、大幅に商品力を高めた新型デイズをアピールし、更なる軽市場シェアの拡大にも意欲をみせた。

日産が日本のために初めて造った軽自動車

日産 新型デイズ&三菱 新型eKワゴンが登場! 新デザインでスタイリッシュに 日産 新型デイズ&三菱 新型eKワゴンのオフライン式の様子。三菱自動車の水島製作所にて

日産 デイズ(とその姉妹車「三菱eKワゴン」「eKクロス」)は、先代同様に日産と三菱自動車工業(以下三菱)の合弁会社NMKVが統括し、製造は引き続き三菱の水島工場(岡山県)で実施する。

ただし、先代モデルでは60年に渡り軽の製造・販売を行ってきた三菱が商品企画・開発を主導していたところ、今モデルでは日産へとバトンタッチしている点も見逃せない。

先代といえば、2013年に発覚した燃費不正問題が、その後の日産・三菱の関係性をも変える契機となったことは記憶にも新しい。もっとも新型開発の主導権が“Game Change”したのは、問題が露見する前からの既定路線だったよう。

日産ではこれまで、特殊な電気自動車を除き軽自動車の自社開発はしてこなかったが、新型デイズ発表会では『日産が日本のために初めていちから造った』点を強調。過去は清算し、あらゆる面で生まれ変わったニューモデルであることを強調していた。

新型デイズ 特長その1 いちから開発されたプラットフォーム+エンジン+CVT

日産 新型DAYZ Highway STAR(デイズ ハイウェイスター)

発表会のプレゼンテーションで日産の星野専務は、もはやコンパクトカーなど登録車との違いはなく『より遠くの目的地へ行くことが出来る』ことを強調していた。軽市場の拡大や性能の向上にともない、各社ともこれ1台でまかなう「ファーストカー需要」が高まっている点を受けての発言だろう。

日産は新型デイズをいちから再構築。“技術の日産“の総力をあげ、ホイールベースを65mmも伸ばした新プラットフォームを開発。衝突安全性を担保しながら、後席のスペースや荷室空間を拡大させた。

またエンジンについても新開発。リチウムイオン電池を用いたS-HYBRID(マイルドハイブリッドシステム)も搭載し、ノンターボ車比で最大15%のトルク向上を実現させた。組み合わせるCVTまでも新開発。フル加速時にCVT特有の騒音上昇を抑え、多段ATのようなステップ加速の気持ち良いフィールを得られる「Dステップ加速」制御機能を追加した。

新型デイズ 特長その2 「プロパイロット」「SOSコール」など先進技術を搭載

日産 新型デイズ&三菱 新型eKワゴンが登場! 新デザインでスタイリッシュに 日産 新型デイズ

最近の日産は「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」(ニッサン インテリジェント モビリティ)をキーワードに、“技術の日産“の先進性を訴求している。電気自動車(EV)及び電動化、自動運転、そしてコネクティビティ(つながる)という3つを柱とし、ここへつながる技術を表現している。その流れは新型デイズでも変わらない。

まず、後述するS-HYBRIDシステムはEVにつながる電動化技術だが、「プロパイロット」は、高速道路同一車線運転支援技術で、将来の自動運転化に向けた第一歩だ。既にセレナやエクストレイル、リーフなどで搭載されているが、日産の軽としては初の採用となる。

「SOSコール」は先進事故自動通報システム(ヘルプネット)の名称で、つながる技術。こちらも軽初の採用だ。エアバッグ作動時の自動通報や、任意のスイッチ操作による通報が出来る。これは専用の通信アダプタや携帯電話の通信機能などを用いて情報センターに接続する「NISSAN Connectサービス」を活用するもの。対応する純正ナビゲーションシステムとの組み合わせが必要だ。なお新型では軽初の9インチ大画面モデルも選択できる。

新型デイズ 特長その3 姉妹車の見事な造り分け

日産 新型デイズ エクステリア
三菱新型eKクロス 外観

デイズのフルモデルチェンジと同時に、三菱の姉妹車も新型が発表されている。従来モデルでは「eKワゴン」と「eKカスタム」のラインナップだったが、新型ではカスタムの枠へ新たに「eK X(クロス)」が誕生した。流行りSUVテイストはいかにも三菱らしく、個性的なマスクは、最近の三菱車共通のダイナミックシールドコンセプトを踏襲。さながら”ミニデリカ”のようだ。軽といえば、標準モデル+カスタム系という組み合わせが定番(鉄板?)な中、面白い差別化となっている。

いっぽう日産はその“鉄板”を踏襲。こちらは日産のミニバン「セレナ」とも共通イメージのカスタムモデル「デイズハイウェイスター」を先代に続き用意し、主力モデルとしてアピールする。

また標準タイプにはオーテックジャパンが手がけた「デイズ ボレロ」を設定。カワイイ系の内装と、さりげなくダーククロムに変更されたフロントグリルの差別化で、女性ユーザーへ訴求する。

[筆者:トクダ トオル(オートックワン)/撮影:オートックワン編集部]

【動画】1分でわかる! 日産 新型軽自動車「DAYZ(デイズ)」

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