小田原、箱根に一段上の観光タクシー 訪日客狙い認定研修

「かながわ観光タクシードライバー認定制度」の研修に参加したドライバーら=14日、小田原アリーナ

 観光都市にふさわしいおもてなしの心と知識で接客を-。県タクシー協会はこのほど、県西地域の事業者を対象に「かながわ観光タクシードライバー認定制度」の研修を小田原市内で実施し、9事業者33人のドライバーが参加した。訪日外国人旅行者(インバウンド)や若者らに、定額で観光スポットを巡る観光タクシーの魅力をアピールし、タクシー業界の活性化を図る。

 同協会は2013年度に同制度を創設し、これまで横浜や川崎などで認定研修を実施してきた。県西地域ではドライバーや事業者ごとに外国語の習得など質の向上を図ってきたが、制度普及に向け、今回初めて研修を実施した。

 研修では専用のテキストを使いながら観光タクシー業務の流れや、車窓案内などのサービスポイント、身だしなみや話し方についてマナーの講師らが講義。ドライバーや乗客の役に分かれたロールプレーイングも行われ、参加者同士で学びを深めた。

 また別の講師は、全国的に増加が続くインバウンドは城や神社を好んで観光する傾向があり、「県西地域に外国人が欲しいものがそろっている」と指摘。周遊コースの設定や外国籍ドライバーの募集など他地域の観光タクシーの取り組みを紹介しながら「英語を間違えてもいいので、外国人観光客とコミュニケーションを取る努力をしてほしい」と呼び掛けた。

 一方、箱根町では近年、インバウンドをターゲットとした無許可のタクシー営業「白タク行為」の横行が課題となっており、2月には中華圏の旧正月「春節」に合わせ、大涌谷園地で啓発活動も実施された。県タクシー協会小田原支部の曽我良成支部長は「地元の正規のタクシーを利用してもらえるよう、観光タクシーを発信していきたい」と話した。

 研修の参加者は観光の知識やコース計画などを考える試験を経て認定されれば、タクシーの車体に4月1日から認定シールを貼ることができる。認定ドライバーは同協会のホームページで氏名と顔写真が公表される予定だ。

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