小籔千豊 地域での笑いの好み「関係あらへん」吉本新喜劇ワールドツアースタート

3月1日で発足60周年をむかえた吉本新喜劇が28日、東京・よみうりホールで『吉本新喜劇ワールドツアー~60周年 それがどうした!~』をスタートさせた。節目を華麗に彩るべく本ツアーは、念願で初の47都道府県にアジア(中国、タイ、シンガポール、インドネシア、マレーシアなど)でも開催される過去最大規模だ。

吉本新喜劇は今年3月から、新体制となった。古株の内場勝則と、座長史上最長(28年間)の辻本茂雄が勇退。テレビタレントとしても活躍中の小籔千豊、川畑泰史、すっちー、酒井藍の4座長に加えて、座長候補のニューリーダーとして清水けんじ、吉田裕、信濃岳夫、諸見里大介が就任して、新しい船出となっている。

本ツアーは、小籔&川畑、川畑&すっちー、すっちー&酒井の3座長班に分かれて周るが、初日の東京公演では知名度抜群の小籔&川畑座長班だったため、平日にもかかわらず超満員。座員も、“乳首ドリル”でおなじみの吉田裕、島田珠代、山田花子ほか、おなじみの顔がズラリと並んだ。

吉本新喜劇は座員のほとんどが関西弁で話し、ローカル色が強い。そのため、全国行脚となると心配されたこともあるようで、小籔は、「常々、東日本のみなさんにも観ていただきたいなぁというのがありましたけど、箱根の山を越えるのは無理やと言う人もおったから、無理かなぁと思ってた。けど、『東京に住んでたけど、結婚して大阪に行って新喜劇を観たらおもしろかったです』とか、『神奈川に住んでるけど新喜劇をずっとCSで観てるんです』とかの声を聞いて、住んでる地域で笑いの好みがあると思ってたけど、関係あらへん」と語る。

今年の元旦には、TBS系列で吉本新喜劇の特番が放映され、大阪の演芸&ローカル番組を網羅している見放題型の映像配信サービス『大阪チャンネル』も絶好調。さらに、首都圏ではTOKYO MXテレビにて毎週レギュラー放映されているため(4月からは月曜16時に移動)、大阪発の吉本新喜劇は全国区となりつつある。小籔は、「10年ぐらい前、『いつか全国47都道府県をツアーで周れたらいいですねぇ』と言ってたけど、まさかこんなに早く実現するとは……」と感慨深げ。

大規模にして長期ツアーで不安なことを聞かれた小籔は、「川畑さんがスベること」と笑わせたが、全盛期を支えた一部座員の高齢化も気になるところだ。初日公演に出演したMr.オクレはツアー中に66歳、やなぎ浩二は77歳になる。「70周年のときは、先輩方がご存命であること」という小籔の願いは切なるもので、吉本新喜劇はここ数年で中山美保さん、「パチパチパンチ」の島木譲二さん、「竜じい」こと井上竜夫さんという大きな柱を失っている。20代、30代の新座員たちの急伸がめざましいだけに、“昭和生まれの支柱”をこの先も欠くことは、是が非でも避けたいところだ。

ワールドツアーは9月8日まで開催。詳細は特別サイト「吉本新喜劇ワールドツアー ~60周年 それがどうした!~」で確認を。https://shinkigeki-60th.yoshimoto.co.jp/

(写真・取材/伊藤雅奈子)

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