拾得物盗んだ県警職員を懲戒免職 転売や不正アクセスも

神奈川県警本部

 県警は29日、県警内の通信ネットワークに不正アクセスを繰り返した上、廃棄予定の拾得物を盗んだとして、川崎署会計課の男性事務職員(44)を懲戒免職処分にした。また、この職員が盗んだ拾得物を譲り受けたとして、交通指導課の男性事務職員(40)を停職3カ月の懲戒処分にした。この職員は同日付で依願退職した。監督責任で、上司に当たる6人が注意処分などを受けた。

 県警監察官室によると、川崎署の職員は2016年9月、県警のシステム管理者のIDやパスワードを使って、県警内の通信ネットワークに不正アクセスした疑いがある。また、17年4月~18年4月ごろ、川崎署長管理の拾得物だったICカード乗車券と電子たばこを盗んだ、としている。県警は22日、職員を不正アクセス禁止法違反と窃盗の疑いで書類送検した。

 同室によると、18年5月に職員の貸与パソコンを修理した際、職員が知り得ないはずのIDやパスワードなどのファイルが発見されて発覚。自宅の捜索で拾得物が発見され、窃盗への関与も判明した。不正アクセスは07年~18年7月ごろまで繰り返し行われ、盗まれた拾得物は少なくとも76点に上るとみられる。拾得物の一部をインターネットサイトで販売もしていたという。

 職員はパソコンの保守管理業務に就いた経験があり、IDなどは「操作中に偶然見つけた。ファイルの移動など業務を手軽にできる誘惑に負けた」などと説明しているという。県警は捜査情報などの漏えいは確認されていない、としている。

 また、交通指導課の職員は、川崎署の職員に拾得物を盗むよう依頼し、18年5月にライター約10個を譲り受けた、としている。同室によると、この件は被害品の廃棄などで容疑を裏付けられず、立件に至らなかった。2人は以前、同じ職場で勤務していた。寺澤陽公監察官室長は、今回の事案を受けて県警内の情報セキュリティー体制を強化したと説明し、「適正な業務管理と指導教養を徹底する」とコメントした。

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