長崎県議選 告示 無投票「非常に重圧」 7選挙区の9人 全員が自民 改選後にらみ他候補“応援”へ

 29日に告示された県議選では、前回と並び過去最多の7選挙区で無投票となり、計9人が当選。1票を行使する機会がないまま終わった選挙区の有権者からは残念がる声が聞かれた。一方、無投票当選者9人は全員が自民。自民県議団の分裂状態が続く中、改選後の主導権争いをにらみ、無投票組の“応援合戦”も熱を帯びそうだ。
 南島原市区(定数2)では、前市議会議長で新人、中村一三さんが初当選した。旧町時代から通算20年以上の議員キャリアで自身初の無投票当選に、「非常に重圧があり、武者震いしている。県政でも地元と一体となり、国や県に要望していく」。
 雲仙市区(同)に立候補した現職、宅島寿一さん。初出馬から3回連続の無投票当選となった。無風で3選を決め、地元市議から「うらやましい」と冷やかされつつも、「全市民から票を頂いたと受け止めている」と自らを奮い立たせた。
 無投票当選者らは祝勝気分もそこそこに、選挙戦になった党公認候補の応援に県内を奔走する。壱岐市区(定数1)で3選を果たした山本啓介さんは「1人でも多くの党員が当選しなければ」と表情を引き締める。東彼杵郡区(同)で5選を決めた党県連幹事長の中島廣義さんは「恐らく会派に分かれての応援になるだろう。参院選前に党の足並みが乱れなければいいが」ともらした。
 平戸市、西海市、南松浦郡の各選挙区でも自民が無投票当選。南島原市有家町の自営業男性(44)は「自民一強の状態はあまり健全には感じない。女性や野党の議員がもう少しいれば、緊張感が出て活発な議会になるだろうが」と残念がった。雲仙市千々石町の松崎竜太さん(18)は「選挙があっても行かなかったかも。まずは興味を持つことから始め、将来必ず投票したい」と話した。

無投票となった東彼杵郡区で、現職のポスターだけが貼られた掲示板=29日午後6時12分、川棚町

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