あの名場面を再び ドラゴンズ「サヨナラ勝ち」特集で平成を振り返る

野球の醍醐味のひとつは、劇的なサヨナラ勝ち。中でも逆転満塁ホームランによるものがその最高峰だが、勝ち方にはさまざまな形がある。平成時代に中日ドラゴンズが飾ったサヨナラゲームの中からの40数本、これらを聴くと、それを実感することができる。最初に登場する場面は、平成元年8月の巨人戦。巨人のエース・斎藤雅樹は9回1死まで無安打の好投。中日は初安打をきっけかに1点を返し、なおも走者二人を置いて、落合博満が逆転サヨナラ3ランを放った。球場の興奮が最高点に達した瞬間。ホームランの威力は絶大である。サヨナラホームランで特にファンの記憶に鮮明なのは、平成11年9月の阪神戦。山崎武司の逆転3ラン。山崎は、打った直後、ホームベースをまたいで両腕を高く上げた。そして、右腕をぐるぐると廻しながら1塁へ。実況アナウンサーは「何と、こんなことがあるのか」と叫んだ。

実況アナウンサーの興奮も、劇的な場面をよく伝えている。「何が起こるかわからない」「何とも信じられない」「こんなことがあっていいのか」。予想を超えた展開に驚きの感情が正直に出ている。実況アナのことばは、球場と聴取者とをつなぐ架け橋である。平成の最初から最近のものまで聴き比べると、傾向として、後で使われるハイライトシーンを意識した、ことば選びが増えたようにも感じられる。

サヨナラのシーンは、ホームランで演出されるものばかりではない。ヒットも多い。そのほか、犠牲フライ、ファーボール、デッドボール、相手のエラーでということもある。意外性で代表的なもの、珍しいケースとしては、平成3年6月の大洋戦。彦野利勝がホームランを放って、1塁ベースを回ったところで右膝を負傷、代走がホームに帰ってくるということもあった。平成23年の2試合連続。平成27年の3試合連続。打つべき人の1本、あるいは、意外な打者の1本。どの場面も当時の興奮が伝わってくる。「こんな外国人選手いたっけ?」という興味の持ち方もある。そして、サヨナラ勝ちは、相手にとってのサヨナラ負け。マウンドでうなだれるエース、リリーフピッチャーの姿も目に浮かぶようである。

平成名勝負スペシャル

放送局:東海ラジオ

放送日時:2019年3月26日 火曜日 19時00分~20時00分

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