3月31日(日)2019社会人対抗戦 明治安田生命戦
郡司裕也主将(環4・仙台育英)率いる慶大が神宮球場での初陣を迎えた。春季リーグ戦での「天皇杯奪還」を目指す慶大の相手は明治安田生命。1点のビハインドを背負いながら迎えた7回、相手のミスを見逃さずに作った好機から代打・嶋田翔(環3・樹徳)の内野安打とバッテリーエラーで同点に追いつく。その後も小原和樹(環4・盛岡三)が満塁から走者一掃の二塁打を放つなど、打線が奮起。投手陣も計5人のリレーで相手の攻撃をしのぎ切り、9-4で勝利を収めた。
明治安田 0 1 1 0 1 1 0 0 0 4 慶大 1 0 0 0 1 0 5 2 X 9
明治安田バッテリー:古田、玉熊、北濱、●高橋、上田、三宮―道端、岸本、尾嶋
慶大バッテリー:髙橋佑、石井、生井、○増居、髙橋亮―郡司、福井、郡司
慶大本塁打:中村1号ソロ(1回)、中村2号ソロ(5回)
◆慶大出場選手
1 [5] 柳町達(商4・慶應) 2 [8] 渡部遼人(環1・桐光学園) 1 増井翔太(総1・彦根東) H 杉本京平(理4・中央中等教) 5 田中凌馬(商4・長崎東) H 鶴岡嵩大(環3・桐蔭学園) 5 角谷隆之介(環3・湘南) 3 [9] 中村健人(環4・中京大中京) 4 [2]32 郡司裕也(環4・仙台育英) 5 [3]2 福井章吾(環2・大阪桐蔭) H3 嶋田翔(環3・樹徳) 6 [7] 正木智也(政2・慶應) 7 [6] 下山悠介(商1・慶應) 6 瀬戸西純(政3・慶應) 8 [4] 小原和樹(環4・盛岡三) 9 [1] 髙橋佑樹(環4・川越東) 1 石井雄也(商4・慶應志木) H 植田響介(総3・高松商) 1 生井惇己(総1・慶應) 8 水久保佳幸(総3・慶應) H8 橋本典之(総2・出雲) H 若林将平(環2・履正社) 1 髙橋亮吾(総4・慶應湘南藤沢)
春季リーグ戦を前に行われる社会人対抗戦。ここまでのオープン戦の総仕上げとして、是が非でも勝利を挙げたいところだ。慶大の相手は明治安田生命。社会人チームに対しどこまで力を出し切れるか。
試合開始は11時。まだ肌寒さが残る中、慶大ナインが守備へと駆け出す。
慶大の先発は髙橋佑樹(環4・川越東)。昨秋のリーグ戦で見事ベストナインに輝いたエース左腕だ。初回を2本の内野ゴロと空振り三振で抑え、幸先の良いスタートを切る。すると打線はその裏、2死から3番の中村健人(環4・中京大中京)がレフトへのホームラン。「今まで練習してきた成果がいい形で出た」と、先制に成功する。
ところが2回表、2死から走者を出すと、続くバッターの打球をショートが痛恨のエラー。一、二塁とされると、レフトへのヒットを許し同点に追いつかれてしまう。3回からマウンドに上がった石井雄也(商4・慶應志木)も悪い流れを断ち切れない。1死からヒットと味方の失策で走者を溜めると、パスボールで二、三塁に。その打者は空振り三振に仕留めたものの、続く打者で再びのバッテリーエラー。1-2と勝ち越しを許してしまう。
5回に「甘いボールを全力で振ることがいい結果につながった」と中村からこの日2本目のホームランが飛び出すも、なかなか攻め切ることができず。その後は歯がゆい展開が続く。
両チーム譲らないまま2-4で迎えた7回。先頭の柳町達(商4・慶應)が四球で出塁すると、バッテリーエラーの間にすかさず二塁へ到達。相手バッテリーにプレッシャーをかける。郡司も四球を選び2死一、二塁とすると、ここで打席には代打の嶋田。暴投で一、三塁となったあとにショートへの内野安打で1点を返すと、続く正木智也(政2・慶應)も四球を選んで満塁に。ここで再び相手投手が暴投し、ついに4-4の同点に追いつく。
続く下山悠介(商1・慶應)も四球となり再び満塁の好機を作ると、打席に立ったのは小原。「思い切って入れた」と右中間を破る値千金の走者一掃ツーベースヒットを放ち、7-4と逆転に成功する。
興奮冷めやらぬ一塁側スタンドが見つめる先で、8回に神宮のマウンドへ上がったのは髙橋亮吾(総4・慶應湘南藤沢)。最速151㌔の速球を武器に相手打線を封じ込め、無失点に抑える。さらに2点を加えて迎えた9回でもその勢いは衰えず、最後はセカンドフライに打ち取ってゲームセット。神宮球場での初戦を白星で飾った。
内野陣のメンバーを昨季から入れ替えて臨んだ今試合。連携面などにおいて安定感を欠いたプレーが目立ってしまったことは、これからに向けての課題として挙げられるだろう。また、打撃はこの試合を通して9点を挙げたが、5回までは8安打2得点。今後は試合の前半から安定した得点を挙げることができれば、リーグ戦優勝がさらに現実味を増すだろう。
一方で、5人で継投した投手陣は4回からは生井惇己(総1・慶應)、6回には増居翔太(総1・彦根東)の新1年コンビが登板。それぞれ1失点ずつ喫したものの、リーグ戦開幕前に神宮の雰囲気を知ることができたという点では大きな経験となったに違いない。髙橋佑、髙橋亮ら上級生たちの背中を追いながら、リーグ戦優勝に向けてさらなる成長が期待される。
今回の試合で得た収穫や課題をリーグ戦初戦である13日の立大戦までにどこまで自分たちのものにすることができるか。悲願の「天皇杯奪還」に向けて、TEAM2019の歩みが始まった。
(記事:川下 侑美、写真:澤田 夏美、菊池 輝)
◆打撃成績
[5]8 柳町 逃三振 右安 空三振 四球 四球 [8] 渡部遼 左飛 右飛 逃三振 1 増居 H 杉本 三邪飛 5 田中凌 H 鶴岡 空三振 5 角谷 [9] 中村 左本① 三安 左本① 遊ゴロ 三安 [2]32 郡司 捕飛 三直 左安 四球 三安 [3]2 福井 空三振 二ゴロ 二ゴロ H3 嶋田 遊安① 遊ゴロ [7] 正木 左安 中安 遊ゴロ 四球 左飛 [6] 下山 右飛 空三振 右安 四球 6 瀬戸西 [4] 小原 遊ゴロ 三安 中飛 右中2③ [1] 髙橋佑 1 石井 H 植田響 空三振 1 生井 遊直 8 水久保 H8 橋本典 一ゴロ H 若林 遊ゴロ 1 髙橋亮
◆投手成績
髙橋佑 2 9 34 2 2 0 1 0 石井 1 6 28 1 1 1 1 0 生井 2 8 38 3 2 0 1 1 ◯増居 2 9 34 1 2 2 1 1 髙橋亮 2 8 30 2 3 0 0 0
◆選手コメント
郡司裕也主将(環4・仙台育英)
ーー今日の試合を振り返って
後半はうちらしい集中力で良かったんですけど、前半で守備のミスが重なったりして、なかなか良いペースに持ってこれなかったのでそこは反省です。
ーーご自身の打撃はどうでしたか
ボチボチって感じです。リーグ戦に向けてもっと状態を上げられるように頑張ります。
ーー今日の投手陣はどうでしたか
やはり経験の差が出ました。髙橋亮吾(総4・慶應湘南藤沢)や髙橋佑樹(環4・川越東)は堂々と投げていました。生井(総1・慶應)と増居翔太(総1・彦根東)は神宮の雰囲気に慣れることができたので、投げられたということは大きな収穫だったと思います。
ーーこれからのオープン戦に向けて
今日でまた新たな課題が出たので、それを練習で潰しながら、オープン戦で状態を上げられるように頑張りたいと思います。
柳町達副将(商4・慶應)
ーー今日の試合を振り返って
序盤で自分もミスしてしまったのですが、前半に守備で崩れてしまって、本番のリーグ戦になるとこういう崩れはチームにとって痛いので、どんどん潰しながらやっていきたいと思います。後半は逆転出来たので良かったです。
ーーご自身のサードとしてどうだったか。
やはり、ホームグラウンドとは違いところがあるので対応しながらやっていました。感じとしては守りやすくて良かったと思います。
ーー今日の打撃を振り返って。
四球を2つ選べたのは良かったのですが、前半のところでしっかり出塁して、いればチームが勢い付いたのかなと思います。
ーー調子の方いかがか。
悪くもなく、良くもなくという状態なので今後上げていきたいと思います。
ーー今後に向けて
開幕に向けて準備して隙のないチームになっていければなと思います。
小原和樹(環4・盛岡三)
ーー今日の試合を振り返って
勝ちきれたことは良かったのですが、前半はどちらかといえば相手のペースだったので、もっと前半から点が取れたらよかったなと思います。
ーー7回裏での活躍について
毎回のオープン戦で、僕にああいった場面が回ってくるので、監督にああいう場面で打てないと成長はないぞと言われていたので、そういった意味では思い切って入れたのかなと思います。
ーー内野のメンバーが去年とはかなり変わっています
やることは変わらないと思いますし、どちらかというと、先の先輩たちの姿を見てみんな頑張ろうという思いがあるので、そういうった意味では心配などはあまりないです。
ーー今日も守備は安定していました
守備は得意だと思っていますし、守備に1番自信を持っています。去年から経験している僕が崩れてはいけないので、そういった意味では常に安定した守備をしなければいけないなとも思っています。
ーー残りのオープン戦への意気込み
まずは勝ちきることが大事なので、チームの団結をしっかりして、いい状態で本戦を迎えられればいいかなと思います。
中村健人(環4・中京大中京)
ーー今日の試合を振り返って
新チームになってから初めての神宮だったので、1年生がここでプレーできたことが大きかったかなと思います。中盤から後半にかけては慶大らしい粘りの野球ができたので良かったです。
ーー1打席目からホームランでした
チーム全体で、しっかりとスイングを入れてやっていこうということで今まで練習してきたので、その成果が今日はいい形で出たかなと思います。
ーー5回にもホームランが飛び出しました
甘いボールを全力で振ることがいい結果につながったと思います。
ーーセーフティーバントもありました
チームとして、セーフティーバントは全員できるようにしているのですが、僕もバントを得意なくらいできるように普段から練習しています。
ーー打撃ではオープン戦から3番に定着していますが
自分でももっと意識するのかなと思っていたのですが、そんなに意識すること自体は変わっていなくて、一打席ごとに役割を全うできたらと思っています。
ーー残りオープン戦に向けて一言お願いします
開幕は初戦から立大が相手なので、そこで今までと同じ反省が出ないように、練習試合ができる今の期間を大切にして、全てやりきってから開幕の立教戦を迎えられたらいいなと思っています。