NSC福岡校1期生による「首席」を懸けたライブ。笑いあり、涙ありの“卒業式”をリポート!

3月23日、福岡市中央区天神にあるイムズホールで吉本総合芸能学院(通称・NSC)福岡校1期生による「卒業大ライブ」が開催された。昨年4月開校の同校で学んできた生徒にとっては、いわば“卒業式”。1期生の「首席」の座を目指して、それぞれが1年間の集大成を披露した。

まずは、福岡よしもと所属のメガモッツが進行役となりルールを説明。卒業生28人15組は抽選で分かれた3ブロックごとにネタを披露する。その後、観客と特別審査員の投票により各ブロック1位の3組が決勝ブロックへ進出。その中から栄えあるチャンピオン(首席)が決定する方式だ。特別審査員には、吉本興業常務取締役でよしもとクリエイティブ・エージェンジー代表取締役会長兼福岡支社長である泉正隆氏をはじめ、NSCの講師、福岡の放送局関係者らが顔をそろえた。

福岡よしもとには、1990年に放送されたテレビ西日本主催のオーデション番組「激辛!? お笑いめんたいこ」を経て1期生が誕生した経緯がある。同番組で優勝したのは、当時「ター坊ケン坊」というコンビを組んでいたケン坊田中とカンニング竹山(※)。ほかに博多華丸・大吉も出演していたというから驚きだ。つまり今回の優勝者は、それ以来の「首席」となるのだ。(※その後カンニング竹山は福岡よしもとを退所)

卒業生たちは観客約400人が見守る満席のイムズホールで、1年間学んだ成果を十二分に発揮。それぞれの個性を詰め込んだ漫才、コント、漫談など3分間のネタで会場を沸かせていた。だが、決勝へ進めるのは3組のみ。投票総数の結果、シシフンジン、ザ・ローリングモンキー、インクルージョンが選ばれた。

決勝戦では、トップバッターのシシフンジンが漫才「乙女心クイズ」を披露。立ち位置右・内田成軌は博多弁全開で、クイズ番組のパロディーを交じえ客席の笑いを誘った。

続いてインクルージョン。予選ブロックでは、全出場者の中で最多票数を獲得した19歳の同級生コンビ。おそろいの黒衣装で息もぴったりの2人が「ヒッチハイク」ネタで会場を盛り上げた。

トリを飾ったのは、こちらも共に19歳のザ・ローリングモンキー。「ロックバンド」を題材にしたネタを全力のボケとキレのあるツッコミで表現。まさに「王道の漫才」という印象を受けた。

その後、全員がステージに上がり、気になるプロフィルについてトークを展開。「博多おっしょいズ」としても活動するコンビ・カーネギーの松相遼が“美形”だという話題では、すかさず相方の澤徹が「ありがとうございます!」と返答。ステージ上では「お前じゃない!」と総出でツッコみ、笑いが起きた。

また「弁護士たち」は博多おっしょいズのメンバーである中村圭太(24)と現役弁護士・篠原一明(39)による年の差コンビ。「なぜ現役弁護士がNSCに!?」という疑問はさておき、ステージ上でボケが渋滞したとき「弁護士さん! 助けてください!」と援護を求めるのはこの日の鉄板ネタとなった。

トリオでコントを披露した「一(はじめ)」の豊嶋修平は、介護士として働く傍らNSCに通ったシングルファーザー。見に来ていた一人娘の話題になったものの、タイミング悪く席を外しており「おいしいところ持って行かれた」と苦笑い。

ほかにもNSC1期生は個性派ぞろい。スポーツマン、美容師、介護士、農業従事者など経歴はさまざまで年齢も19~39歳と幅広いが、みんな同じ目標を持った仲間。中には、この1年で解散・結成したコンビもあるものの、互いに切磋琢磨し成長してきたのだった。

そして、いよいよ結果発表の時間に。決勝戦は特別審査員のみの投票で決定し、結果はステージのモニターに映し出される。

緊迫する空気の中、10人中7票という圧倒的な票数でチャンピオンに輝いたのは…ザ・ローリングモンキー! 優勝が決まった瞬間、立ち位置左の田中武冴士(むさし)は思わず涙ぐむ。それを見守り、しっかりとコメントする立ち位置右の塩澄克樹の姿。コンビ愛が垣間見えた瞬間でもあった。

晴れて首席での卒業となったザ・ローリングモンキーには副賞として、5月に開催予定の東京・大阪を含むNSC首席が集まるライブの出演権と、今後賞レースなどで東京・大阪へ行く機会を想定して“1回分”の渡航交通費(往復)が贈られた。

最後には、特別審査員が卒業生へ一言ずつコメント。泉氏は「今日は通過点です。ダウンタウンなども(NSC大阪の)卒業時は4番目か5番目くらいでした。皆さんにチャンスがあります。頑張ってください」と全員に向けエールをおくった。

今春より「芸人」としてスタートを切る卒業生たち。早速、カーネギーの2人、コアラビリンス・丸山快、シシフンジン・内田が4月からFM福岡でのラジオ出演が決定するなど、新たな一歩を踏み出している。夢に向かいそれぞれの道へ進む彼らを、今後も見守っていきたい。

© 株式会社東京ニュース通信社