日本人ニューヨーカーに聞いた来る前に知りたかったこと ニューヨーク暮らしベーシック情報①

日本人ニューヨーカーに聞いた来る前に知りたかったことニューヨークに住む日本人に、来米前に知りたかったこと、いまだに分からない日常の疑問、それをどうやって解決しているかアンケートで聞いた。気になったのはやっぱり日米の違いニューヨーク市、および近郊在住の日本人を対象にアンケートを実施したところ、20人から回答を得た。

まず聞いたのは、ニューヨーク(アメリカ)での生活を始めるに当たり、来米(および転居)前に知っておきたかった、あるいは知っておけばよかったと思ったのはどんなことか、という質問(複数回答可)。回答で多かったのは、日本とアメリカで違いが大きい確定申告、クレジットカード、住宅情報、医療保険についてだった。

確定申告は自分でやるの?

「タックスリターン(確定申告)に必要な資料が多く、(来米前に)具体的に知っておきたかった」というのは、駐在員のZakuさん。ほかにも多くの人が、事前に知っておきたかった制度としてタックスリターンを挙げている。アメリカでは、所得税などの確定申告は自分で行うことになる。もちろん会計士などの専門家に相談、申請代行を依頼することは可能だが、書類などは自分でそろえなくてはいけない。滞在期間によって居住者、非居住者の違いがあったり、不動産、株式などの資産を保有している場合など、申請は複雑になる。また今年は30年ぶりの大幅な税制の改正もあったことが、さらに事前には分かりにくくさせている。

クレジットヒストリーって一体何?

アメリカがクレジット社会であることを「事前に知っておきたかった」と答えたのは回答者の約半数におよぶ。「(クレジットカードの)必要性と作り方を知っておきたかった」と答えたのは、結婚をきっかけに来米した、うださん。暮らし始めて分かるが、物件の賃貸契約をはじめ、あらゆる場面で求められ、来米したばかりの人にとっては呪文のように響く、「クレジットヒストリー」「クレジットスコア」という言葉。日本からクレジットカードは持って来ているのに、それとは違う、当地でなくては得られない経済的な信用度の仕組みは、事前に実感するのはなかなか難しい。

誰を信じる? 住宅事情

全米でも家賃が高いことで知られているニューヨーク市。少しでも安く住もうと思うと、エリアの交通の便の良さ、教育機関の充実度、さらに物件の種類などを検討しなくてはならない。来米間もない日本人が、賃貸契約に際して何が必要なのかといった情報や家賃を左右するエリアの開発状況などは、意外にもネットなどでは情報を得るのが難しいのがアンケートの回答からはうかがえた。
当地在住が10年を超えるコロンさんは、留学生として来米した当初、「賃貸契約で、誰を信じていいのか分からず、非常に不安だったことを覚えている」という。確かに、住居やエリアに関する情報は、生活の基盤となるため、事前にしっかりと調べておきたいことの一つだろう。

またコロンさんは、「家族などに協力してもらい、できるだけ早いうちに(物件を)購入した方が、短期滞在でも投資になったと今さらですが思います」と住居に関するアドバイスもしている。来米前にはなかなかそこまで考えられないだろうが、「高い家賃を払い続けるならば購入した方がいい」というのは当地に住んでいると、よく耳にするニューヨーク「あるある」話だと知っておくと、物件の見方も変わるかもしれない。

住民でも理解しにくい保険制度

来米前から「アメリカの保険制度の複雑さと医療費」について疑問があったというのはYKさん。15年以上当地に在住しているが、いまだにこれらについては疑問を持ち続けているという。

医療保険に関しては、2010年に医療保険制度改革(通称オバマケア)が成立し、市民の保険加入が義務化され、加入に対する支援制度ができた。しかし一方で非加入者に対する罰金制度も設けられ、また加入の複雑さも議論の的となってきた。そして、政権が変わり、制度が変更されたこともあり、在住歴が長い居住者にとっても、いまいち理解しにくいことでもある。

どうやって解決している?

長年住み続けていても、いまだによく分からないこと、困ることも多い。そうした場合、どうやって解決しているのかという質問もしている。

「自分でネットで調べる」というのが圧倒的に多いが、「友人、特にアメリカ人の友人に聞く」(田中キミヨさん)のように、ネットだけの情報を鵜呑みにしていない様子もうかがえた。また、P王子さんは、アメリカらしく、「基本は即、クレーム。場合によっては諦めの境地」と語る。さぞ長く滞在しているツワモノかと思いきや滞在はまだ3年未満とのことだ。

特に専門的な事柄に関しては、「その道のエキスパートに聞く」「ニューヨークの滞在が長い人に聞く」(AJさんほか)のが、やはり賢い方法だろう。そして、本誌「ニューヨークに住む」(http://www.ejapion.com/special/LNY01-02)、あなたの新生活にぜひ活用してもらいたい。

NY市のトリビア

現在の市長は、ビル・デブラシオ。第109代市長で、2014年1月1日から現職。ちなみに前代はマイケル・ブルームバーグで、02から13年まで3期務めた。

ニューヨーク市はマンハッタン、クイーンズ、ブルックリン、ブロンクス、スタテンアイランドの5区から成る。ちなみに他区に比べ知名度が低いスタテンアイランドは、「the Forgotten Borough(忘れられた区)」の異名を持つ。

ニューヨーク市の人口は862万2698人(*1)で人口密度は1平方マイルあたり2万7012.5人(*2)。全米の人口は3億2716万9178人(*3)、人口密度は1平方マイル当たり87.4人(*2)。ちなみに人口に対する外国生まれはニューヨーク市は37.2%(*2)、全米は13.4%(*2)。(数値はUS Census より。*1=2017年推定、*2=2010年調査、*3=2018年推定)

NY州のトリビア

ニューヨーク州の面積は50州中27番目。人口はカリフォルニア州(3955万7045人)、テキサス州(2870万1845人)、フロリダ州(2129万9325人)に次ぐ4番目(1954万2209人)。ちなみにお隣のニュージャージー州は890万8520人で11番目(*3)。

現州知事は、アンドリュー・クオモ。第56代で2011年1月1日から現職。第52代はお父さんの故マリオ・クオモ氏。ちなみにマーティン・ヴァン・ビューレンはじめ4人の大統領が当選前にニューヨーク州知事を務めている。

ニューヨーク市および近郊はプロスポーツチームが多い。MLBはヤンキースとメッツ、NFLはジャイアンツとジェッツ、NHLはレンジャーズとアイランダーズ、NBAはニックスとブルックリン・ネッツとそれぞれ2球団ずつある。さらにメジャーリーグサッカー(MLS)はニューヨークシティーFCとレッドブルがある。ちなみに「ニューヨーク」と冠しているが、ジャイアンツとジェッツはニュージャージー州イーストラザフォードで、レッドブルは同州ハリソンが本拠地。

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