ルクレール失速の原因は、「MGU-Hではなくシリンダーの誤燃焼」とフェラーリ

 F1第2戦バーレーンGP決勝レースの終盤、トップ走行中のシャルル・ルクレール(フェラーリ)のマシンが突然、パワーを失うトラブルに見舞われた。フェラーリは初期段階の分析として、ペースダウンの原因がシリンダーのうちの1本で発生した誤燃焼にあったと語っている。

 日曜日の決勝レースにおいて、ルクレールは途中まで他のマシンを大きく引き離す素晴らしい走りを見せていたが、フィニッシュまでわずか10周余りを残した時点で、パワーユニット(PU/エンジン)に異変があると伝えてきた。

 その後、急速に形勢不利な状態に陥ったルクレールだが、残り3周となったところでルノーの2台がPUトラブルによりストップ。折よくセーフティカーが導入されて、何とか3位でフィニッシュすることができた。

「現在エンジンを点検している。したがって現時点ではまだ、何が起きたのか明確な説明はできない」とフェラーリF1チーム代表のマッティア・ビノットは述べた。

「これはエンジンの問題だ。シリンダーの1本で誤燃焼があったが、(その原因を)理解する必要がある」

「エンジンをマラネロに持ち帰り、詳細な点検を行う。こうした事象が起きた場合は、時間をかけて慎重に確認する必要があるからだ」

「ただ、エンジンはレース終了時点でも回っており、今も動かせる状態にある」

「当然、次の中国GPにおいても金曜日のフリー走行で使用する。それまで時間をかけてエンジンの動き、機能性、パフォーマンスを評価する予定だ」

 F1で初優勝を手にするというルクレールの願いは、バーレーンの砂漠で蜃気楼のように消えてしまった。2019年型マシンSF90のパワーダウンについて、解説者たちはMGU-H(熱エネルギー回生システム)の不具合が原因だと指摘していた。

「どこからそうした話が出たのかは分からないが、MGU-Hには何も問題はなかった」

「ああいうことが起きたときは、燃焼制御について、少なくとも制御のマッピングを変えてみるなどして修復を試みて状況を改善できる方法を見つけようとする。ただ今回はその方法が見つからないまま、何とか最後までもたせるしかなかった」

「今回のような状況でレースを継続させるのは、大胆な判断だったかもしれない。だが終わってみれば、3位を獲得することができた。結局は正しい判断だったと言えるのではないだろうか」

 3位の表彰台は、気休めにしかならないのかもしれない。だが失意のルクレールはそれでも、今回のバーレーンでファステストラップを記録して追加のチャンピオンシップポイントを獲得している。シーズン終盤で意味を持つかもしれない1ポイントをあげたルクレールの手柄だ。

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