ルノワールの優美な少女像が名古屋に 9日から「印象派からその先へ」展開催

 日本でも広く親しまれている印象派。その前後の歴史を含め、西洋近代絵画の流れを72点の作品でたどる「印象派からその先へ―世界に誇る吉野石膏コレクション」展が4月9日から名古屋市美術館で開かれる。

ルノワール「シュザンヌ・アダン嬢の肖像」(1887年、パステル/紙)

 

 展覧会はミレーらのバルビゾン派に始まる。印象派の代表的作家のルノワールが夢見るような少女の表情を描いた、「シュザンヌ・アダン嬢の肖像」が目玉の一つ。活力ある肉体美を描いたドガ「踊り子たち(ピンクと緑)」や外光を巧みに生かしたモネの作品などで印象派の展開を振り返る。さらに荒涼とした風景のゴッホ「雪原で薪を運ぶ人々」やセザンヌらのポスト印象派に続く。

 20世紀になると、フォービズム、キュビスム、抽象絵画など、実験と自省を繰り返して変転する多様な美術の様相が現れる。「静物、花とコーヒーカップ」のマチスやヴラマンク、ピカソなどの作品を紹介する。

 1910年前後から、パリで前衛の影響を受けながら花開いた作家たちの時代が「エコール・ド・パリ」だ。ローランサンの幻想的な「五人の奏者」のほか、ユトリロや、伝統を踏まえながら前衛性を獲得したシャガールの10点で締めくくる。

 石こうボードなどの建材で知られる吉野石膏だが、実はフランス近代絵画のコレクターとして多くの作品を収集。コレクションの多くは山形美術館に寄託されている。

 5月26日まで。巡回予定は次の通り。6月1日―7月21日、兵庫県立美術館▽10月30日―2020年1月20日、東京・三菱一号館美術館

 (47NEWS 中村彰)

 

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