
東アジアに生息し、世界的にも絶滅が危惧されているトキ科のクロツラヘラサギが、長崎県五島市富江町の干潟に飛来している。越冬地から繁殖地へ渡る途中とみられ、へらのような黒く長いくちばしで餌を探すなど元気な様子。市内の愛鳥家らが静かに見守っている。
同市の鐙瀬(あぶんぜ)ビジターセンターや日本野鳥の会などによると、クロツラヘラサギは全長約75センチ。環境省のレットデータブックで、近い将来に野生での絶滅危険性が高い「絶滅危惧IB類」に分類され、世界に3千羽程度しかいないとされる。
4月中旬~7月中旬が繁殖期で、主に朝鮮半島で繁殖する。10月下旬から台湾や香港、中国南部などに渡って冬を越し、春になると繁殖地に帰る。県内では昨春も、五島や対馬で羽を休める姿が確認された。
2日にクロツラヘラサギを撮影した富江町の県生物学会員、米文博さん(71)は「直接見るのは初めてで感動した。くちばしですくい上げるように餌を捕るしぐさが面白い」と話した。