「荘川桜」の2世 開花 廃校の旧松島小

見ごろを迎えた旧松島小の荘川桜2世=西海市大瀬戸町

 樹齢500年といわれる岐阜県高山市の「荘川桜(しょうかわざくら)」の種子から育てた「2世」が、長崎県西海市大瀬戸町の廃校、旧市立松島小の校庭で花を咲かせている。
 荘川桜は「アズマヒガン」というヤマザクラの仲間。1960年、電源開発(Jパワー)の「御母衣(みほろ)ダム」建設に伴い水没した集落から湖畔に移された。2006年3月、松島火力発電所の運転開始25周年を記念し、Jパワーが苗木を松島小に寄贈。卒業生4人が校庭に植えた。
 松島小は13年、大瀬戸町内の3校と統合して閉校。今では学びやに児童の姿はないが、校庭は島民のグラウンドゴルフなどに利用されている。植樹時に高さ1メートルほどだった桜は7メートルほどに成長。当時のPTA会長、原川英則さん(64)によると、数年前から花を見上げる高さになった。
 昨年7月に赴任した松島火力発電所所長代理の大井哲郎さん(51)は本社広報室勤務時に苗木の寄贈を担当。「松島は高山よりも暖かい。枯れていないか気になっていたが、大切にしてくれていた」と島民に感謝する。当時の校長で長崎市の馬場登喜子さん(63)は「松島での4年間を思い出す。育った桜を見に行きたい」と声を弾ませた。

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