県議選候補者 ポスター比較 色・スローガンに思い込め

選挙ポスターは有権者にアピールする大事な手段=長崎市内

 7日の投票日に向け、候補者が支持拡大にラストスパートをかけている県議選。各地に掲示された選挙ポスターなどは有権者にアピールする大事な手段だ。候補者はどういった色やスローガンで訴えているのか。長崎市区(定数14)に立候補した17人のポスターやリーフレットを見比べてみた。
 「情熱の赤。勝負のときは赤にしている」。ポスターで候補者名を赤色にした現職の一人はこう語り、えんじ色を使った別の現職は「選挙だからと目立つ色ではなく、人が落ち着く、街に溶け込む色にした」。青系にした新人の一人は「政治家はクリーンさが求められている」と、それぞれの色が与える効果に期待する。
 ポスターの背景や文字に使った主な色を見ると、赤系が11人、青系が6人。県立大情報システム学部の片山徹也准教授(色彩情報)によると、一般的に赤は“エネルギッシュで元気”な印象を与え、青は“信頼性”や“堅実性”をイメージさせる効果がある。“活発”な印象の黄色、“柔らかさ”や“繊細さ”を表すピンクも多用される傾向という。
 文言はどうだろうか。40代以下候補者の多くはポスターに年齢を入れ、若さをアピールする。対するベテラン。今回のポスターには入っていないが、リーフレットでは「即戦力」の文字を躍らせる候補者もおり、長年の実績を強調する。
 候補者の思いの一端が垣間見えるポスターのスローガンは、「長崎」「未来」「元気」の文言が多い。候補者からは「人口減少対策でどういう施策を講じるべきか先を見ないといけない」との声が聞かれ、短い言葉にも閉塞(へいそく)感漂う現状を打開しようとの熱意がにじむものが目立つ。
 このほか、現職の一人は「具体的な政策を提案し、有権者の判断を仰ぐべきだ」との考えから「大型開発優先よりくらし・福祉・子育て応援」と生活に密着したスローガンにした。県政と有権者との距離感を嘆く新人のスローガンは「県政を家庭まで」。県政の課題を分かりやすくかみ砕き、関心を持って家庭でも話してもらいたいとの思いを込めた。
 一方、被爆地長崎で「平和」を入れたのは現職の一人だけ。得票につながることを期待しつつも、「一人だけというのも何だか寂しい気がする」と話す。
 新しい工夫も見られる。限られたポスターのスペースを有効活用しようと、新人の一人はQRコードを載せ、自身のフェイスブックに誘導する方法を取った。「ポスターだけで活動や考えを知ってもらうのは限界がある。わらにもすがる思いだ」。それぞれのポスターの効果はいかに-。候補者たちは手応えと不安の中、投票日を迎える。

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