BC栃木の前阪神・西岡剛、3安打3打点 ド派手な独立Lデビュー「体は動く」

©株式会社Creative2

開幕戦に「1番・DH」で先発出場したBC栃木・西岡剛【写真:小西亮】

「1番・DH」で圧巻の独り舞台、積極的な走塁で存在感発揮「幸せです」

 昨季限りで阪神を退団し、ルートインBCリーグの栃木ゴールデンブレーブスに入団した西岡剛内野手が6日、リーグ開幕戦で圧巻の独り舞台を演じた。茨城アストロプラネッツ戦(ひたちなか市民)に「1番・DH」で先発出場。3安打3打点で勝利に貢献しただけでなく、積極果敢なプレーでチームを鼓舞した。目標に掲げるNPB復帰に向け、これ以上ないスタートを切った。

 プレーボールの合図が”開演”の知らせだった。先頭で打席に入った1球目に、虚をつくセーフティーバント。西岡にとっては、一緒にプレーすることになった若手選手たちと、自分自身に向けた決意表明でもあった。「みんな、どれだけ自分の長所が分かっているかな」。過去16年間のプロ生活を振り返り、自らを輝かせてくれたのは“足”だった。今年35歳を迎えるとはいえ「自分の体は動いていると認識している」。惜しくもファウルとなったが、ベンチもスタンドも一気に沸いた。

 続く2球目は一転バット振り切り、右翼線への二塁打。2018年5月10日の巨人戦(東京D)以来、331日ぶりに公式戦での快音を奏でると、続く打者の浅い右飛で、迷わずタッチアップ。三塁手と交錯しながらも、ベースは譲らなかった。その後、相手の失策で本塁を踏み、先制攻撃の旗印に。「緊張感を楽しめた」と言う初陣の主役に躍り出た。

2016年に左アキレス腱断裂「今は生かされた野球人生なんです」

 8回無死一塁で迎えた4打席目は変化球をうまくバットに乗せ左前へ。次の打者への初球にすかさず盗塁も決めた。役者には9回無死満塁の絶好機がクライマックスに用意され、右翼線へと抜ける一塁強襲の打球で応えた。走者一掃の適時三塁打。あと本塁打が出ていればサイクル安打というド派手な独立リーグデビューだった。

 空を見上げれば、雲ひとつない春空。3000人超の観客は、敵味方関係なく声援をくれた。NPBへの返り咲きを心に誓い、求めた新天地。背番号に込めた「1」からの戦いが始まり「幸せです」と噛みしめる。もちろん、周囲にとって自身が「特別な存在」だということも分かっている。一挙手一投足に神経を行き届かせ、たとえ凡退しても走ってベンチへと戻る。練習の日も誰よりも早く来て、グラウンドが開いていなければ外周を走る。「お手本」という言葉を報道陣に向けられると、「そこまでは……」と謙遜した。

 阪神時代の16年に、左アキレス腱断裂を経験。選手生命を脅かされた。「あそこで1回死んでしまった。だから今は生かされた野球人生なんです」。蘇ったからには、もうひと花咲かさねば。今ここで、立ち返るのは原点。数多のファンを魅了してきた「スピードスター」を追い求めた先に、再び輝ける場所が待っているはずだ。(小西亮 / Ryo Konishi)