電力も地産地消へ 湘南電力など4社が連携 小田原

再生可能エネルギーの普及に向け連携をアピールするほうとくエネルギーの蓑宮社長(右から2人目)ら関係者=4日、小田原市内

 発電事業者ほうとくエネルギー、電力小売りの湘南電力(ともに小田原市扇町)など4社が共同で、市内の民間事業所の屋根を借りて太陽光発電設備を設置し、県内の家庭や事業所に電力を供給する地産地消事業を始めた。県が展開する「地域電力供給システム整備事業」に採択されたもので、電力料金の一部はサッカーJ1リーグ湘南ベルマーレなどの活動へ還元することで地域の活性化にもつなげたいとしている。

 4日の共同会見には2社のほか、電力需給管理を担うエナリス(東京都千代田区)、設備設置・メンテナンスを担当する古川(小田原市寿町)の代表者らが出席。太陽光発電など再生可能エネルギーの普及を進めるほうとくの蓑宮武夫社長は「日本の危機はエネルギー自給率が8%程度しかないこと。長い戦いになるが、事業者の高い志とともに、まずは県西地域で取り組んでいきたい」と意気込んだ。

 趣旨に賛同し屋根の提供に手を挙げたのは、しいの食品(同市成田)、共同冷蔵(同市早川)、社会福祉法人小田原福祉会(同市穴部)の3法人。「屋根貸し事業」と呼び、施設5カ所で計155キロワットの発電出力があり、1日の発電量は平均約467キロワット時になる。災害時は各施設の非常用電源として利用できるという。

 東日本大震災を教訓に再生可能エネルギーの地産地消政策を推進する県は、首都圏から遠く離れた福島や新潟で発電された電力を送電する際のロスや災害時の脆弱(ぜいじゃく)性を問題視。加えて、大手電力会社から購入すると、県内の資金が東京へ流出することから、地域内循環を目指している。

 4社の企画は同事業の7件目の採択で、補助金額は約800万円。国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」を先取りし、市内の小学校など公共施設の屋根で太陽光発電を行うなど、4社の連携による実績は注目を集める。

 県産業労働局エネルギー課の清水明課長は「小田原市内の(地域電力発電の)取り組みは県内でも先進的と受け止めている。全県に広がることを期待し、県も引き続きバックアップしていく」と約束した。

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