長崎大名誉教授・勝俣さんの名が小惑星に

勝俣隆さん

 古事記などに登場する神話と星の関連を研究し、星座神話が日本にもあったと論じた長崎大名誉教授の勝俣隆さん(67)=神奈川県小田原市=にちなんで、火星と木星の軌道間にある小惑星の一つが今年、「Katsumatatakashi」と命名された。ユニークな研究が天文ファンの間で注目され、知人らの発案で実現。日本の国文学者の名前が小惑星に付いたのは、初めてという。
 勝俣さんは神奈川県出身。1988年長崎大助教授、2000年教授。17年に退官した。日本では西洋などと違い、星と神話の関連は薄いというのが定説だったのに対し、日本でも天孫降臨神話などと星や星座とは密接な関係にあったとの論を展開。「星座で読み解く日本神話」(00年)などの著作で紹介している。
 小惑星は直径約5キロ。太陽の周りを約3.5年かけて1周している。地球から肉眼で見ることはできない。1992年に札幌市のアマチュア天文家2人が発見し、これまで名前は付いていなかった。
 命名は、勝俣さんの親しい知人で天体写真家の藤井旭さん(78)=福島県郡山市=らが提案。命名権を持つ発見者らの了承を得て、国際天文学連合(IAU)に申請。今年初めに認定された。
 藤井さんは「日本にも星座があったという話が面白く、退官を機に功績を顕彰しようと天文ファンの間で話が上がった」と話す。
 現在も研究を続けている勝俣さんは「(命名は)思ってもみなかったが、星がある限り名前が残るのはうれしい。これに恥じないような研究を続けたい」と語った。

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