毎週月曜日の夜、クイーンズ区アストリアのイベントスペース「Q.E.D.」のドアを開けると、軽快なスイングジャズが流れきた。プロダンサーの絹川明美さんが2014年に創設した、「スイング・ダンス・アストリア」のクラスが行われている。
「クラスでは基本の6カウントと8カウントを覚え、リンディホップやチャールストンが踊れるようにしていきます」と絹川さん。スイングダンスは、1930年代、40年代に流行ったジャズに合わせてペアで踊るダンスのこと。
まずはみんなで輪になり、曲に合わせてゆっくりステップを踏みながらウオーミングアップ。その間にも次々に参加者がやって来て気軽に輪に加わる。
クラスは毎月練習する内容を変え、今月は基本ステップであるトリプルステップの6カウントを学ぶ。インストラクターのレウイー・ギラマイケルさんがリーダー、絹川さんがフォロワーになってペアを組み、ゆっくり基本のステップを踏みながら説明。「ロックステップ、トリプルステップス、トリプルステップス。これが基本です」とリズムを取る絹川さんの声に合わせ、ステップを踏む生徒たち。
慣れてくると、パートナーと組んでの練習に入った。ステップだけでなく、相手の体に置く手の位置や握り方も重要。「力を抜いてリラックスして」「次のパートナーに行く前にハイタッチしましょう」と絹川さん。パートナーが交代するたびにあいさつして名乗り合い、みんなすっかり打ち解けていた。
また、その日のレッスンの動画は毎回ユーチューブに投稿されるので、いつでも見直せると生徒に好評だ。
アストリア在住のプログラマー、ジェニファー・シーグラベフレスティーさんは「昨年夫とパリを訪れた時に、ジャズクラブでみんなが楽しそうにスイングを踊っているのを見て私たちもやりたくなり、早速レッスンに参加しました。先生が分かりやすく説明してくれて簡単に理解でき、楽しめました」と、次回もぜひ参加したいと話した。
IT関係の仕事に就くルイサ・ペッツシーティスさんは、「ダンスが大好きでいろんな種類のダンスを踊ってきましたが、スイングは初めてでした。このスムーズなリズムが大好き。今度はぜひボーイフレンドと一緒に参加したいです」と、すっかり気に入ったようだ。
マンハッタンから参加のヤヌーシュ・ヤオースキーさんは、「未経験なので、クラスを受ける前に少し練習してきましたが、みんな初心者レベルだったので、助け合ったり教え合ったりしてとても居心地がよかったです。パートナーが変わるたびに、相手の体型や個性によって踊り方も変わるので面白かったです」と初めての体験を喜んでいた。
絹川さんは、「踊っているうちに、皆さんが笑顔になってくれるのがうれしいです」とほほ笑んだ。