不断の努力で

 日常、平生を言う「普段」とは、正しくは「不断」と書くのだと、語義や語源を解き明かす本「ことばの道草」(岩波新書)にある。「絶え間なく続くさま」が「日常」の意味になったらしい▲「普段の暮らし」を「不断の努力」で支えていく。求められるのは、それに尽きるだろう。県議選で当選した46人の顔触れを見ながら、山とある県政の課題に絶えず全力で、と期待する▲16の選挙区のうち7選挙区は無投票で、「なり手」不足は実に深刻な悩みだが、選挙戦になったところではいくらか世代交代、変化の波もあった▲長崎市区では30代、40代の新人5人が議席を得た。その中に初の統一地方選に臨んだ立憲民主党の1議席をがっちりつかんだ人がいる。国政選挙に出て敗戦を重ね、くら替えし、実に24年ぶりに県議に復帰する人がいる▲地方議員の仕事は、地方に住む私たちの普段の、未来の暮らしとつながっている。福祉をどうするか。産業をどう育むか。人口が減るのは確かだが、減っていく中でいかに暮らしやすい社会にするか。地方の向かう先を今ほど探りに探り、語りに語るべきときはあるまい▲「不断」からきた言葉に、いくら使っても尽きない「ふんだん」もある。変化の波も寄せる県政の議論の場に、明日を語る言葉がふんだんにあることを。(徹)

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