「性にあたりまえなんてないよ」クィアな視点を切り口に、性をテーマにした作品を上映、第13回関西クィア映画祭開催決定!

2005年から、クィア・ジェン ー・セクシュアリティ・フェミニズムを扱った作品、LGBT・性的少数者などを扱った作品、性にかかわる暮らしや生き方 をテーマにした作品を世界各国から集め、京都と大阪など関西エリアで上映する場を主催している関西クィア映画祭。今年第13回を迎える関西クィア映画祭の開催日、会場、メイン特集内容が決定した。大阪は9/21(土)22(日)23(月/休)、すてっぷホール(とよなか男女共同参画推進セン ーすてっぷ)にて、京都は10/18(金)19(土)20(日) 、京都大学 西部講堂にて開催となる。

今年のメイン特集は「ジュールズ・ロスカム監督特集 ~あるトランス男性の10年の軌跡~」。性別移行やトランスすること、恋人や友人との 関係、男性であることと男性特権、といった話から始まり、米国の人種差別な どにも迫り、最近では自身の家族の話に行き着く。何本もの映画をとり続ける ことで、自己と向き合い、広い視点も持ちつつ、着実に前に進んできたクィア の一人が、ロスカム監督。そんなロスカム監督の10年の軌跡を追うことで、単 に「トランス男性としてのロスカムさん」ではなく、一人の人間としてのロスカ ムさんに、出会ってみよう。

クィアとはひとりひとりが自分の性や生き方を選び決めていこう、規範の押し付けに反対 しよう、というメッセージ。「クィア/queer」は、性の領域で「ふつう」 ではないと考えられている人々への蔑称として使われてきた英語だった。これを逆手にとって使うことで、様々な少数派を肯定し、「ヘンでもいい」「不一 致は私たちの 豊かさだ」と差異の権利を主張し、LGBTだけでなく「普通では ない」「典型的でない」生き方をポジティブに捉えなおす意図がある。

妊娠し出産し、自分で子どもを育てている19人のFtMトランスジェンダーの物語。 「子どもとの関係では父親だけど、父親らしくしたい訳ではない」 「自分の妊娠ーそれは他人の妊娠を見ているようだった」 「女性の身体に閉じ込められた気がして、妊娠は嫌だった」 「よい親であるため に、男女で役割に違いがあるとは思わない」 「私は親ではあるけど、母親でも父親でもない」 妊娠時に身体とアイデンティティーとの不調和を感じる人もいれば、男子として暮らしつつ妊娠する人もいる。
医療によって作られた「トランス物語」を「学ぶ」トランスもいる。 自分の経験を安心して話す場がないから「典型的なトランスジェンダー像」が機能してしまうのでは? 監督は、トランス1人1人の個人史から「FtMの男らしさ」も多様であることを描く。そしてフェミ ニストやクィア達、トランスたちの自由な会話を通じ、私たち1人1人がより深く理解し合う可能性を探る。性別の自由なあり方を模索するあなたには必見の映画です。
それはまるで、気のおけない友人達とおしゃべりをしてる気分になる映画。 血縁や法制度によって維持されるのではない「私たち」の人間関係の豊かさや厚みを描きます。「男だから」 「トランスだから」 「家族だから」ではなく、一人ひとりが自由に作り出す親密さ。そして その曖昧さと複雑さ。ロスカム監督の、愛と家族についての挑戦を見てみよう。
いつも疎遠な父。大好きな母。噛み合わない兄。そして祖父。 両親の旅路を辿るなか、過去の暴力や痛みと向きあうロスカムが、対話の積み重ねを通じて「家族」 を見出していく。映し出されるホームビデオや美しい自然の風景、感情をかたどったようなアニメーション。パッチワークのようにつなぎ合わせたロスカムの記憶に誘われ、私たちもまた、自分にとっての家族を見つめ直す。

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