官邸質問制限問題で、新聞労連委員長が講演 横浜

 首相官邸が官房長官記者会見で東京新聞記者の質問を「事実誤認」と断定し、質問権を制限するかのような申し入れを官邸記者クラブにした問題で、新聞労連の南彰中央執行委員長(40)が13日、横浜市中区で講演した。南委員長は「政府が今後、メディア規制を仕掛けてくる危険性を含め、この問題は非常に深刻だ」と指摘。「知る権利」を脅かす問題として、メディア全体で連帯していく必要性を訴えた。

 同問題を巡り、新聞労連は2月、「国民の知る権利を狭め、容認できない」などとする抗議声明を出している。南委員長は一連の官邸の対応を「政府見解通りに質問しなければ、問題行為だと言っているに等しい」と疑問視。メディアが統制された戦前の例を挙げ「報道が大本営発表一色になり、国民が真実を知らないまま戦争に突っ込んだ歴史と同じことが起きかねない」と警鐘を鳴らした。

 さらに、特定記者に対してだけでなく「いずれ不都合な質問をする番記者が出てきたら、(制限を)適用するはずだ」と影響が広がる可能性も懸念。政治家自らがインターネットで発信できるようになるなど、権力に対する既存メディアの力が弱まっている背景も指摘し、公式な取材機会の拡大に向けてメディア全体で取り組んでいく必要性を説いた。

 同問題を「報道規制を図ろうとしたもの」などと問題視し、抗議声明を出した日本ジャーナリスト会議(JCJ)の神奈川支部が主催。立ち見も含め、約130人が参加した。

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