びしょ濡れで「助けて」 丹沢で遭難者救助の男性に感謝状

 丹沢登山中に遭難し9日ぶりに救助された無職男性(37)の救護などを行ったとして、松田署は9日、東京都町田市の無職丸山和之さん(72)に感謝状を贈った。

 男性は3月19日、日帰りで西丹沢の雨山峠に向けて出発し、夜になっても戻らないため、両親が県警に行方不明届を出した。署などが3日間捜索したが見つからないままになっていた。

 同27日朝に雨山峠へ出発した丸山さんは、宿泊を予定していた無人の山小屋に昼ごろ到着。夕方、山小屋に男性がびしょぬれの状態で「助けてください」とはうように入ってきたという。

 丸山さんは持参していた服に男性を着替えさせ、カップ麺やパン、スポーツドリンクなどを提供。翌28日午前5時ごろ、携帯電話の電波が届く場所まで約2時間歩いて110番通報し、山小屋まで戻って男性と一緒に救助を待った。

 登山歴約50年の丸山さんは、1泊の登山予定だったが4日分の食料を持参していた。妻サトエさん(72)と署を訪れた丸山さんは「男性から『1週間以上山にいる』『沢の水を飲んで過ごした』と聞きびっくりしたが、助けられてほっとした」と笑顔で語った。

 署によると、今年は3月末までに8人の山岳遭難を認知。例年初夏にかけて増加するといい、中田好一署長は「登山届の計画に基づき行動し、食料や装備も余裕を持って楽しんでもらいたい」と呼び掛けている。

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