〔霧島山(硫黄山)〕1年2か月ぶりに噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)へ引下げ 噴気活動には引き続き注意(4/18)

18日11:00、福岡管区気象台と鹿児島地方気象台は、宮崎・鹿児島県境の霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)について、火口周辺約1kmの範囲に大きな噴石を飛散させるような噴火の可能性が低くなったとして、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から1(活火山であることに留意)へ引下げる「噴火予報」を発表しました。霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)の噴火警戒レベルが1になったのは昨年(2018年)2月以来、約1年2か月ぶりとなります。
えびの高原の硫黄山では、昨年(2018年)4月19日に山の南側で江戸時代以来となる噴火が発生し、火口から200~300m程度まで大きな噴石が飛散しました。また翌20日には硫黄山西側500m付近(県道1号線付近)で新たに噴煙が上がり、26日に一時的に火山灰が含まれる噴煙が上がる程度の噴火も発生しました。
噴火はこの昨年4月26日以降は発生しておらず、火山性微動も昨年6月20日以降は観測されていません。さらに、今年(2019年)に入ってからは火山性地震の少ない状態となり、地殻変動についても停滞しています。
なお、昨年4月に噴火が発生した硫黄山の南側や硫黄山西側約500m付近では、現在も活発な噴気活動が続いています。このため、気象台では噴気地帯周辺では熱水や熱泥の飛散や火山ガスに注意し、地元自治体の発表する立入規制に従うよう呼びかけています。

◆霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)の最近の火山活動の状況
<2013年>
・12月頃より火山性地震が時々発生。
<2014年>
・08/20 継続時間が約7分の火山性微動が発生。この周辺で火山性微動を観測したのは初めて。
<2016年>
・12/06 噴火警戒レベル導入運用開始。
・12/12 11:00過ぎから火山性地震が増加。11:40、噴火警戒レベル2(火口周辺規制)に引上げ。
<2017年>
・01/13 14:00、噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)に引下げ。
・04/25 硫黄山周辺の一部の観測点で傾斜変動を観測。噴気の量も増加。
・05/08 東京大学地震研究所の現地調査により、硫黄山火口内で噴出物を確認。
・05/09 19:20、噴火警戒レベル2(火口周辺規制)に引上げ。
・09/05 13:29、硫黄山付近を震源とする振幅の大きな火山性地震が発生し、えびの高原でわずかに身体に感じる揺れを観測。火山性地震も14:00までの1時間に50回観測される。
・09/08 噴気が稜線上300m以上に上がる。9月中旬以降は稜線上概ね100m以下に低下。
・10/31 14:00、噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)に引下げ。
<2018年>
・01/19 02:30頃、傾斜変動を伴う火山性微動が発生、火山性地震も一時的に増加。
・02/15 07:51と11:52に浅い所を震源とする振幅の小さな低周波地震が発生。その後、火山性地震も増加傾向に。
・02/20 11:40、噴火警戒レベル2(火口周辺規制)に引上げ。
・04/19 【噴火】15:39頃、噴火発生、火口周辺に噴石が飛散。硫黄山での噴火は江戸時代の1768年(明和5年)以来250年ぶり。15:55、噴火警戒レベル3(入山規制)に引上げ。
・04/20 06:30頃、前日からの噴火は停止するも複数の火孔から噴気や泥水の噴出を確認。16:30頃から、硫黄山西側(県道1号線付近)で新たな噴気を確認。
・04/26 【噴火】18:15頃、硫黄山の西側500m付近(県道1号線付近)の噴気域でごく小規模な噴火発生、18:26頃まで継続。噴煙が火孔から200m以上に上昇。
・05/01 14:00、噴火警戒レベル2(火口周辺規制)に引下げ。
・06/20 この日以降、火山性微動が観測されなくなる。
<2019年>
・04/18 11:00、噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)に引下げ。

◆用語解説:噴火警戒レベル(●=現在の霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)の噴火警戒レベル)
火山活動の状況に応じて警戒が必要な範囲や、とるべき防災対応を以下の5段階に区分して発表する指標で、避難や規制の対象地域は、地域の状況や火山活動状況により異なります。
・レベル5(避難):危険な居住地域からの避難等が必要。
・レベル4(避難準備):警戒が必要な居住地域での避難の準備、災害時要援護者の避難等が必要。      
・レベル3(入山規制):登山禁止や入山規制等危険な地域への立入規制等。状況に応じて災害時要援護者の避難準備等。
・レベル2(火口周辺規制):火口周辺への立入規制等。
●レベル1(活火山であることに留意):状況に応じて火口内への立入規制等。

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