長崎市長選 田上氏 4選 3新人 退ける

4選を決め万歳をする田上富久氏(中央)=21日午後8時28分、長崎市桜町の選挙事務所

 長崎市長選は、田上富久、橋本剛、高比良元、吉富博久の4氏が出馬し、市が計画しているMICE(コンベンション)施設と新市庁舎の整備の在り方を最大の争点として舌戦が繰り広げられた。橋本、高比良、吉富の3氏はそれぞれ市の財政が厳しく人口流出も著しいとして、大型事業の見直しを訴え、現職批判を強めた。これに対し田上氏は財政運営は堅実で、大型事業も妥当性があると強調。3期12年の実績と高い知名度を武器に、逆風をはねのけ、長崎市では歴代最多タイとなる4選を決めた。
 投票率は47.33%だった。前回は無投票だったため、前々回と比べると5.95ポイント下がり、戦後最低記録を更新した。今回は争点が明確だったものの、全市的に有権者の関心が高まっていたとは言い難く、政治離れが一層進んでいる現状も浮き彫りとなった。
 田上氏は「夢のある長崎をいっしょにつくろう」をスローガンに掲げた。大型事業については「次の4年で形になる」として継続を呼び掛け、今後は人口減少対策や文化、スポーツ分野に注力すると訴えた。連合長崎や経済団体など多くの推薦団体が下支えした。
 橋本氏は、市の人口減少と財政の厳しさ、住民投票を巡る市民運動の続発といった市民と市政の乖離(かいり)を「三つの脅威」と呼び、新市庁舎の規模縮小などを主張。「長崎を変える」と訴え、地盤の市中心部で一定の支持を得て田上氏を追い上げたが、届かなかった。
 高比良氏は、MICE施設と新市庁舎の整備見直しや新産業の創出、子育て支援策などを掲げて「市民に開かれた市政を実現する」と訴えた。地盤の市南部や出身である県庁OBの支援を受けながら、草の根活動で支持拡大を図ったが、及ばなかった。
 昨年、MICE施設整備の是非を問う住民投票実施を目指し活動した吉富氏は「ハコモノを造っているゆとりはない」と主張、整備凍結と財政の立て直しを訴え、多選批判も重ねた。市議時代のつても頼りに、街頭演説などで支持を呼びかけたが、広がりを欠いた。

◎田上 富久 62 (無所属・現)
 市長、日本非核宣言自治体協議会長、平和首長会議副会長、県市長会長、全国市長会相談役 元 市統計課長、市観光振興課主幹▽九州大法学部卒(4)

◎田上富久氏の話
 これからの4年でハード、ソフト両面の取り組みが形になる。しっかり進められることになり、ほっとしている。これまでの12年間が一定の評価を受けたと思う。選挙戦でいろんな批判を受けたことは真摯(しんし)に受け止め、今後に生かしていきたい。

◎長崎市長選(選管最終)

当 86,319 田上富久(たうえとみひさ) 62 無現
  54,136 橋本(はしもと)  剛(つよし) 49 無新
  19,239 高比良(たかひら) 元(はじめ) 66 無新
  4,207 吉富博久(よしとみひろひさ) 74 無新

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