アパレルバイヤーから飲食業のマネージャーへ 小川和世子さん 「ベントオン」副社長

小川和世子さん 東京都出身。2003年に来米、パーソンズ・スクール・オブ・デザインのファッションビジネス科を専攻。「Cafe ZAIYA」を経て「BentOn」マネジャーに。今年、副社長就任。http://www.benton.nyc/
古川徹さん 「BentOn」代表 「能ある鷹は爪を隠す」を体現し、芯が強く義理人情に厚い小川さんは、まるで武士。自分を客観的に分析でき、得意なことや努力すべきことを把握している人なので、とても信頼しています。副社長としての今後の活躍に期待!

**来米前から飲食業をされていたのですか?
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実は元々、日本ではアパレルブランドのバイヤーとして、買い付けなどを担当していました。来米の目的も、パーソンズ大学でファッションビジネスを勉強するためでした。

ただ、昔から食べ歩きが大好きで、飲食業にも少し興味がありました。一見全く異なる業種ですが、ファッションもフードも、はやりやシーズンに敏感な点が共通していると思います。

「カフェ・ザイヤ」と縁ができたことをきっかけに、飲食業の面白さにすっかりはまって、同店に社員として入社しました。そこでマネジャーを務めていたとき、「ベントオン」社長の古川と出合いました。古川の「日本の弁当文化をアメリカに広げる」という壮大な夢に心を奪われて、付いていこうと決めました。

日本人客の多い「カフェ・ザイヤ」と、現地人客の多い「ベントオン」は接客やビジネス戦略も違うので、比較すると面白いです。

弁当は徐々にアメリカでも浸透していますよね。
確かに「bento」という言葉自体は知られていますが、一般的なアメリカ人のイメージとして、プリメードの(すでに食材が詰められた)弁当は、「余り物の詰め合わせ」という、ややマイナスのイメージがあるようです。

一つの箱の中でさまざまなジャンルの料理を、フルコースで楽しめるのが弁当のいいところなので、そういったことをもっと皆さんに知ってもらいたいですね。

現在はパソコン片手に、新商品や企画の立案、職場の統括など、多岐にわたる業務を担当

今年から副社長に就任しましたが、今の心境は?
これまでは「ベントオン」2店舗のマネジャーだったのですが、会社全体を背負う今、改めて責任の重さを実感しています。
 
元々現場での接客が得意なのですが、企画立案などのデスクワークは頭の使う部位が違って、大変です(笑)。やるべきことが、どんどん降り注いでくる感覚! 煮詰まったら、気分転換にレジカウンターで接客することもあります(笑)。

今は後任のゼネラルマネジャーの育成に、特に力を入れています。

職場ではサッカー関連イベントなど、常にさまざまな企画がある。どの企画も毎回楽しんで臨んでいる

スタッフの指導で気を付けていることは?
やはり現場に入ってみないと、現場の改善点は分からないので、自分が実際に働いている姿を見せています。レシートを両手で手渡すといった日本式のサービスの良さは、実演してお客さまの反応を見せると、アメリカ人スタッフにも伝わりやすいですし。

何より、スタッフには楽しんで仕事をしてもらいたいので、彼らの目線に立って指導するようにしています。スタッフが楽しんで働いてくれれば、笑顔のサービス、そしてお客さまの笑顔につながります。みんなの笑顔を見るのが、私の一番の喜びです。

みんなでレストランに食事に行くなど、人と会って楽しく過ごすのが好き

今後の目標は?
ニューヨーカーの誰もが、「ベントオン」のロゴを認識してくれるくらい、大きな会社にすることです! そのためにも、今目の前にあることに、一つ一つ丁寧に取り組んでいきたいです。

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