一時的大量ごみ収集へ 川崎市、遺品整理など高齢化対応

 1人暮らしの高齢者の死亡などで一時的に大量に排出されるごみを巡り、川崎市は新たな処理方法を導入する方針を固めた。これまで排出側の搬入が原則だったが、収集に切り替えて対応する。高齢化社会の進展で、こうした事態が増えることが想定されるため切り替えを決めた。2020年度の実施を目指し、今年9月の市議会定例会に条例改正案を提出するとしている。

 市は現在、普通ごみ週2回、資源物週1回、粗大ごみ月2回の収集を行っている。引っ越しなど特別な事情がある場合は、事前に相談した上で市内に4カ所ある生活環境事業所に搬入できるが、収集業者には頼めず自力で運ぶしかない。

 しかし、高齢化や核家族化を背景に、現在の収集態勢では市民が困難に直面するケースが散見されるようになった。特に1人暮らしの高齢者が亡くなった際には、賃貸借契約の関係から短期間で大量のごみの処分が求められることがある。さらに身内が遠方に住んでいる場合には、大量のごみをその日のうちに処分する必要に迫られることもある。

 新たな処理方法はこうした課題に対応し、市民の利便性向上につなげるために考案した。市によると、市は今後、粗大ごみの運搬が可能な収集車を持つなどの要件を満たした業者に、収集業務の許可を出す。利用希望者は業者を選んで事前に依頼し、搬入計画書を市に提出。業者にごみ処理手数料や収集運搬費を支払って、引き取ってもらう。ごみは市の浮島処理センター(川崎区)で月~土曜日、王禅寺処理センター(麻生区)で月~金曜日にそれぞれ受け入れる。

 市の担当者は「高齢化に伴う一時的な大量ごみに関する相談はこれまでも寄せられていた。新たな収集対応で、今後も市内で出る家庭ごみの適正処理を図っていきたい」としている。

 市はすでに募集を終えた市民意見を取りまとめた上で、夏ごろに条例改正案を作成し、9月開会の市議会定例会に提出する予定。20年春ごろに収集運搬業者からの申請を受け付け、許可するかどうか審査を進めていく。

© 株式会社神奈川新聞社