【MLB】平野佳寿、2年目のジンクス打破へ ブレない日々の準備に加える変化

ダイヤモンドバックス・平野佳寿【写真:Getty Images】

今季は一時防御率9点台も3戦連続無失点と復調気配

 ダイヤモンドバックスの平野桂寿投手は22日(日本時間23日)の敵地・パイレーツ戦で、4点をリードした7回に救援登板。1回を投げ無安打無失点2奪三振と好投し、3試合連続無失点。一時は9点だった防御率を5.00に改善し、復調の兆しを見せる。

 34歳で挑んだメジャー1年目の昨季に26試合連続無失点の快投を演じた平野だが、期待を背負った2年目のスタートにはつまずいている。3月29日の開幕戦で失点すると登板5試合で3試合に失点。その後の6試合では1失点と立ち直ってきたが、ここまでの11試合で7失点は、順調だった昨季と比較すると、開幕からの同じ試合数で「5」点増となっている。

 直球の精度に欠けるなどスタートのつまずきにはいくつかの要因が挙げられるが、昨季も一時悩んだ捕手との呼吸は看過できない。

 今季のDバックスはカージナルスからトレードで移籍したカーソン・ケリーが正捕手の座を射止めている。平野とはここまでの11試合で7試合にバッテリーを組んでいるが、4月6日のレッドソックス戦でブラッドリーに対しフォークを6球続けて要求するなど、配球面で噛み合いが悪かった。

 平野は1年目の序盤にも同じ経験をしているが、自重していた意見交換を申し出て「フォーク偏重」を是正している。今季初勝利を挙げた4月16日のブレーブス戦後には「ケリーと投げたいボールが合ってきた」と話し、燻り出した配球面の不安を払拭した様子だ。

平野と共にダイヤモンドバックス入りした丸山哲トレーナー【写真:木崎英夫 】

オリックス時代からの“愛棒”丸山哲トレーナー「昨年より今年の方が…」

 昨季は日本投手で歴代最多の75試合登板を果たし、蓄積疲労を不安視する声も上がったが、その兆候はまったく見られない。オリックスで2016年から2年間コディショニングを担当し、昨年、平野と共にDバックス入りした丸山哲トレーナーが日々の観察からその見解を示す。

「メジャーでの流れがわかってきて、僕からの指示や助言はほとんどないです。ここまで見てくると、その本数は多くはありませんが、中継ぎ陣の全体練習で走らなくてもいい日に一人で走り込みをしています。昨年よりは今年の方がむしろ動いていますね。ですから春のキャンプから頃合いを見計らって、動き過ぎに注意するようにと伝えてます」

 更に、丸山氏は今季の平野の変化を指摘する。

「ちょっと打たれた時期に、(横の動きになる)キャリオカをやったりサイドステップやったりとかしてました。彼はいろんなことを考えてやっているので、僕は見てるって感じですね(笑)」

 これで思い出したのが、昨年の9月のとある日のこと。丸山氏の指示によってランニングとジグザグ走の次に、横方向に進むサイドステップ、そして最後は腰を回転させながら横方向へ進むキャリオカで約20メートルの距離を往復。投球は一方向への動きを繰り返すため、多方向への動きをすることで「体の状態を確認できる」と丸山氏。今季の平野は早い段階から状態を自覚し、その修正に取り組んでいる。

 臥位、立位での前後左右のバランスを確認しながら行う20種ものメニューを消化してから、フィールドに出ていくルーティーンはまったく変わらず。

 ブレない日々の準備に自己観察力を携えた35歳の右腕は、2年目のジンクスをぶち破る。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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