子ども貧困率11・2% 長崎県が初の調査結果公表 自己肯定感低い傾向

子どもの生活実態調査結果の主な内容

 長崎県は25日、昨年初めて実施した子どもの生活に関する実態調査結果を公表した。子どもの相対的な貧困率は11.2%で、貧困状態にある子どもは、そうでない子どもに比べて自己肯定感が低い傾向などがみられた。県は調査結果を踏まえ、子どもと保護者の貧困対策につなげる構え。
 調査は昨年11~12月、北松小値賀町を除く県内20市町から抽出した小学5年、中学2年の児童・生徒と保護者計1万8658人を対象に実施。1万7890人(95.9%)から回答を得た。
 調査では、世帯年収を世帯人数の平方根で割った等価可処分所得を算定。貧困線(等価可処分所得の中央値の半分)は97万2千円となり、それを下回る860世帯を相対的貧困と位置付けた。回答したひとり親家庭1385世帯のうち、約3分の1に当たる418世帯が相対的貧困だった。
 相対的貧困世帯について、子どもに「医療機関を受診させられなかった」と答えた保護者は7.4%(小5、貧困線以上の収入世帯では2.1%)、「習い事に通わせられなかった」のは24.3%(中2、同9.2%)。経済的な理由で治療や学習などの機会が制限されている現状が浮き彫りになった。
 子どもたちの向上心や自己肯定感に関する質問もした。相対的貧困世帯の子どもで「勉強やスポーツなどをがんばりたい」と答えた割合は85.2%(小5、同91.6%)、「勉強がわかる」と回答したのは66.2%(中2、同77.9%)、「自分には良いところがあると思う」と答えたのは65.4%(小5、同72.8%)と低かった。
 県は保育所やNPO法人など県内19団体にも聞き取り調査を実施。「貧困が伴うと考えられる子どもの状況」(複数回答可)を尋ねたところ(1)食事を十分にとれていない(84.2%)(2)風呂に毎日入ることができない(68.4%)(3)夜遅い時間に子どもだけで家にいる(68.4%)-などが続いた。また、家庭を支援する際に困難だと感じる点は「保護者との接触、信頼関係づくり」(89.5%)が圧倒的に多かった。
 県こども政策局は、就学援助費や貸付金など各種支援制度について知らない世帯が一定数存在することを問題視。「結果を重く受け止めている。支援制度の周知を含め、地域の実情に応じた施策を展開したい」としている。

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