新幹線整備 改めて拒否 与党検討委で佐賀知事

 九州新幹線長崎ルート未着工区間の新鳥栖-武雄温泉(佐賀県)の整備方式を話し合う与党検討委員会が26日、東京都内であった。意見聴取で出席した佐賀県の山口祥義知事は同区間について「これまで新幹線整備を求めたことはないし、今も求めていない」と建設を拒否する考えを改めて示した。整備方針が宙に浮いたままでは2022年度の長崎ルート暫定開業時から導入する、武雄温泉駅で新幹線と在来線特急を乗り継ぐ対面乗り換え方式が続くことになるが、山口知事は「やむを得ない」と容認する考えも示した。

 検討委は6月をめどに、全線フル規格とミニ新幹線の2案のうち、時間短縮効果や投資効果に優れる全線フルを軸に方向性をまとめたい考え。佐賀県が改めて反対姿勢を示したことで着工実現は不透明な状況だが、委員からは「与党として、まとめるときはまとめる」との声も出ている。

 検討委はこれまで、多額の財源に難色を示す佐賀県の負担軽減策を協議してきたが、出席者によると、この日の会合では具体的な軽減策は提示しなかったという。山口知事も終了後記者団に「(負担軽減策というより)入り口の段階の議論がほとんどだった」と感想を述べた。

 その上で山口知事は「これまで関係者間で合意されているのは武雄温泉-長崎の新幹線整備と、新鳥栖-武雄温泉は在来線を利用することだったはず」と主張。短期間に方針を決めることは無理があるとの認識も示し「地元の意向を無視して、前に進むことはあり得ないということを要望した」と述べた。

 検討委の山本幸三委員長は終了後「今後は委員間で議論を深めていきたい」と述べた。国土交通省の試算によると、全線フルの建設費は約6200億円で、佐賀県の実質負担額は約660億円。

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