スターバースト銀河は波長で大きく表情を変える

この画像は、教育や一般の方々に対し宇宙に興味を持ってもらう目的でもある「ESO’s Cosmic Gems Programme」の一環として超大型望遠鏡「VTL」を用いて撮影した「M61」の姿。2019年1月に公開されたものです。

「M61」は、おとめ座の方向約5000万光年先に位置する渦巻銀河で、複雑な渦巻構造に所狭しと宇宙の宝石が敷き詰められている様にも見えます。渦巻腕の中に広がる赤色は、活動的な星形成領域を示しており、大部分に分布される爆発的星形成領域を持つM61はスターバースト銀河に分類されます。その力強く活発なエネルギー源は、中心に存在する超大質量ブラックホールが影響していると考えられています。

また上の画像は、ハッブル宇宙望遠鏡の掃天観測用高性能「ACS」で撮影した画像。見た目や派手さが大きく異なるのは、星形成領域を捉える際に使用されるHα線フィルターが用いられていないため。Hα線は、水素の輝線が高い星形成領域を捉えるために「656nm」の波長が利用され「赤色」として表示されます。

フィルターの有無で「星を生み撒き散らす天体の様」に見えたり「明るい中心に引き込まれている渦巻き」にも見えるなど、様々な捉え方によって研究調査の内容も異なります。
スターバースト銀河の場合はHα線で捉えられる領域が広く分布されているため、銀河の表情も大きく変わります。

Image Credit:ESO / ESA/ Hubble & NASA
https://www.eso.org/public/images/potw1901a/

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