中日又吉、勝利呼ぶ3回完全救援 「不思議な感覚で」課題の回跨ぎ克服、今季初勝利

中日・又吉克樹【写真:荒川祐史】

自己最速タイの152キロに驚き「あの力感であのスピードが出るのか」

■中日 5-4 阪神(27日・ナゴヤドーム)

 中日がアクシデントを乗り越えて、連敗を3で止めた。27日、ナゴヤドームでの阪神戦。笠原が体調不良で先発を回避する中、逆転勝ちし、再び貯金を1とした。

 12連戦の初戦、そしてゴールデンウィークの始まりを逆転勝ちに導いたのは、又吉のパーフェクトリリーフだった。笠原の代役としてスクランブル先発した佐藤は3回3失点で降板。その後を受け継いだのが、背番号16だった。

 4回からマウンドに上がると、西、近本、糸原を3者凡退斬り。3回まで毎回走者を出していた阪神打線の流れを断ち切ると、その裏、打線が26イニングぶりに得点。打者一巡の猛攻、ビシエドの3ランで逆転に成功した。

 又吉は2イニング目以降も危なげのない投球。5回、6回と3者凡退で切って取り、3イニングを完全投球で切り抜けた。リリーフ陣もリードを守り抜き、今季初勝利。試合後、お立ち台に上がった右腕は「今日は不思議な感覚で投げられた」と振り返った。

 不思議な感覚――。又吉は今季、回跨ぎで投げた3月29日のDeNA戦、4月5日の巨人戦で失点。24日の広島戦は2イニングを無失点に抑えていたが、回跨ぎが課題とされていた。「集中しているんだけど、緊張感はありながら…。いつも入り込んでしまうんですけど、フラットな感じで入れました」。5回2死で迎えた福留への4球目では自己最速タイの152キロ。「あの力感で、あのスピードが出るのか、と久々にビックリしました」と驚くほどの“境地”だった

 これまでには、独立リーグ時代に一度しかなかったという感覚。「内容の濃い3イニングでした。なんでそうなったのか考えてみたい。準備の段階でどうだったのか。1つ自信を持つことができた。こういう感覚なのかなと、大切に練習していきたい」。又吉が、大きな“何か”を掴んだかもしれない。

 開幕投手も務めた左腕の緊急事態を、チーム一丸となって救い、又吉も「笠原のために勝てたのがよかった」という。世はゴールデンウィークの10連休、チームは怒涛の12連戦。「1日1日を大切に、1イニング1イニング、1人1人を大切に投げて、それで12連戦が終われればいいと思います」。この日のヒーロー又吉は目の前の一戦だけを見つめていた。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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