安心小麦、海老名SAでパン販売へ 中央農がJGAP取得

畝に土を寄せて小麦の世話をする生徒ら=県立中央農業高校

 小麦の栽培に取り組んでいる県立中央農業高校(海老名市中新田)が、食品の安全性などを示す品質認証「JGAP(ジェイギャップ)穀物(小麦)」を取得した。多岐にわたる審査をクリアし、認証を得たのは県内高校で同校が初めて。つくった小麦はパンにして販売する予定で、生徒は認証取得を励みとして日々の農作業に精を出している。

 GAP認証は生産活動の各工程を正確に記録するなどして農産物の品質改善を目指す取り組みで、JGAPは日本GAP協会(東京都)が設けている。

 同校などによると、2020年東京五輪・パラリンピックで組織委員会が選手村への食材調達の基準としてGAP認証を採用したことから注目されている。同校では選手村へ食料を納入する予定はないが、教育の一環として認証取得を目指して活動し、今年2月に与えられたという。

 対象となったのは、同校南圃場(ほじょう)の約3アールの畑で、農業総合科の生産・販売類型2年生の18人が育てている小麦。担当する山本直仁教諭によると、JGAP取得には、くわなどの農具や農薬などを保管する倉庫を整理整頓することから始まり、種まきから収穫までの生産工程をきちんと管理して記録することが求められる。

 栽培している小麦は、地元海老名市内の農家が以前から生産している「ユメシホウ」。昨年9月ごろから取り組み、山本教諭の指導で生徒らが60センチ幅に畝を作って種1粒1粒を1センチ間隔に手でまいた。くわで畝に土を寄せ、草取りをして丁寧に育てている。

 審査会社の担当者が2月に同校を訪れ、生産工程など100項目以上にわたってチェック。また認証取得に必要な大量の書類を山本教諭が作成、書類は重ねると6~7センチの厚さになるほどだったという。

 小麦を育てている大戸海さん(17)は「倉庫の掃除などが大変だったけど、認証取得を聞いてうれしかった」とほほ笑む。浅沼久乃さん(17)も「一つ一つ種をまくなど、それぞれの作業をきちんとやることが大変だった」と苦労を振り返りながら笑顔を見せた。

 小麦は高さ50センチほどに青々と育っており、6月には120センチほどになって収穫できる見通し。生徒らが手作業で収穫、脱穀し、市内の農家が育てた小麦と一緒にしてパンに加工され、東名高速道路海老名サービスエリア内で販売される。

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