「郵便の父」たたえ 横須賀で墓前祭前島密没後100年

タラヨウの木の記念植樹を行う関係者=横須賀市芦名

 郵便制度を創設した前島密が眠る浄楽寺(横須賀市芦名2丁目)で27日、没後100年を記念する墓前祭が開かれた。日本郵政関係者や前島の出生地・新潟県上越市の市民ら約350人が出席し、近代化に幅広く貢献した「郵便の父」の功績をあらためてたたえた。

 「日本文明の一大恩人前島密翁を称(たた)える会」の主催。元鎌倉材木座郵便局長で同会の吉崎庄司会長(89)が「没後100年の節目の年。今後も郵政事業の発展に努力し、遺徳をしのび、長く後世に伝えていく」とあいさつ。上地克明横須賀市長は「大勢の人にしっかりと思いが受け継がれ、今日がある」とし、村山秀幸上越市長は「縁の下の力持ちになることを厭(いと)うな。人のためによかれと願う心を常に持てよ」という前島の信条に触れ「今生きるわれわれにも心に響く」と述べた。

 出席者は本堂前で焼香し合掌。葉に字が書けるため「はがき(葉書)」の名称の元となり、「郵便局の木」とも呼ばれるタラヨウの木を記念に植樹した。

 前島は、1835年に現在の上越市で誕生。明治政府で郵便事業を創業したほか、東京専門学校(現・早稲田大学)創立への参画や新聞事業育成なども手掛けた。「切手」や「はがき」という言葉の名付け親で、1円切手の肖像にも描かれている。晩年は同寺の土地に山荘を設け、1919年に生涯を閉じた。

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