【高校野球】「毎日が決勝戦…」も東京優勝の東海大菅生がライバル校を意識しない理由

春季東京大会を制した東海大菅生・若林弘泰監督【写真:楢崎豊】

1995年以来、2度目の優勝の東海大菅生・若林弘泰監督は元中日投手

 春季東京都高校野球大会の決勝戦が28日、神宮球場で行われ、東海大菅生が選抜出場の国士舘を4-3で破り、1995年以来、2度目の優勝を果たした。

 試合を決めたのは8番打者のキャプテン・石田隆成(3年)だった。3-3の9回に左中間へサヨナラ二塁打。この日自身2本目のヒットが値千金の一打になった。

 サヨナラ打を放った後、石田はナインにもみくちゃにされた。東海大菅生・若林弘泰監督も笑顔で主将の頭をなでていた。

 そんな温かい雰囲気から想像もつかないようなコメントが試合後、指揮官の口から出た。

「勝てたことはよかったですね。ここのところ、打てていなかったので、石田をレギュラーから外そうかと思っていました。これで主将としても引っ張っていってくれると思います。主将も変えないといけないなと思っていましたから」

 この試合で石田は強い気持ちが出ていたと感じた。今大会は可能性を引き出すためにたくさんのベンチ入り選手を試合に使った。選手の内面的な部分を見極めて、起用も当たった。

石田は「チャンスが回ってきたら自分で決めたいと思っていました」

 石田は本来ならば2番などの上位を打つ打者だが不調で下位にいた。「ただ、これまでも8番に入った時にタイムリーが出ていたので……。チャンスが回ってきたら自分で決めたいと思っていました」と強振して、秋の決勝で敗れたライバル・国士舘を破った。

 東海大菅生は今大会は2回戦からの登場で、八王子、明大中野八王子、二松学舎大付属、日大三、関東一と強豪校を次々と撃破。日大三に対しては12-5と7回コールドで勝利していた。指揮官は「毎日が決勝戦のようでした……」と振り返った。大差もあれば接戦もあった。秋に続いて、春の決勝も同じカードとなれば、夏の西東京大会でも決勝で当たる可能性は十分にある。否が応でも国士舘を意識してしまうかと思いきや……。

「『打倒・〇〇』とは考えることはありません。そこを倒したら完全燃焼してしまう可能性がありますから。常に優勝、日本一を目指していきたいと思います」

 この優勝を機に意識を高く、選手にも緊張感を持たせて、これからもチームの強化を進めていく。(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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