【幕張の涼風~M☆Splash!!通信】笑顔が愛くるしい“新人”は習志野高バトン部OG

習志野高バトン部OGのYUNA(ユウナ)さん【写真:佐藤直子】

マリーンズダンスアカデミー出身YUNAさん「お客さんがいればいるほど気持ちが上がる」

 今季「マウエ↑」をチームスローガンに掲げ、9年ぶりの日本一を目指す千葉ロッテマリーンズ。本拠地のZOZOマリンスタジアムで繰り広げられる真剣勝負に華を添えているのが、チアパフォーマー「M☆Splash!!」だ。結成16年目を迎える今シーズンは、フレッシュな新人7人を加えた19人のメンバーが元気いっぱいのパフォーマンスで球場を盛り上げている。「Full-Count」では、魅力溢れる「M☆Splash!!」メンバーを定期的にご紹介。記念すべき第1回は、ルーキーの「YUNA(ゆうな)」さんだ。

 活動を始めて、まだ2か月足らずのYUNAさん。だが、実はマリンスタジアムで踊るのは、これが初めての体験ではない。

「小学2年生の時、球場にマリーンズを応援しに来た日が、たまたまマリーンズ・ダンスアカデミーの募集締め切り日だったんですね。親から聞くと、私はテレビを見ながら真似して踊るのが好きな子どもだったみたいで、『じゃ、入ってみようか』と始めたのがきっかけで、小学2年生から中学3年生で高校受験する前までは毎週マリンスタジアムに通ってダンスをしていました」

 当時から「M☆Splash!!」入りを目指していたのかと思いきや、「全く思っていなかったです。憧れというか、雲の上の存在だったので」と完全否定。今回応募した時も合格するとは思わず、「またマリンスタジアムで踊りたいな」という気持ちだけだった。蓋を開ければ、トントン拍子で最終選考の公開オーディションへ。そこで初めて、家族や友達にも応募していることを打ち明けたという。

「みんなビックリしてました(笑)。でも、公開オーディションには、これまでチアを一緒にやっていたメンバーや先輩が見に来て下さりました。当日は2階席や3階席にもお客さんがいる中で自分がステージに立てるなんて楽しくなっちゃって、あのオーディションは本当に100%できたなって思います。審査員の方だけだと、逆に緊張しちゃって(笑)。小学2年生からダンスアカデミーの一員として、満員御礼の土日の球場で踊ることもあったので、久々にたくさんの人の前で踊れて楽しい気持ちでいっぱいでした。お客さんがいればいるほど、気持ちが上がるんです」

大先輩・福浦和也の2000本安打を目撃「あれはもう、忘れられないですね」

 大好きだったダンスアカデミーを高校受験のために卒業。目指した先は、ロッテファンにはおなじみ、そして今春センバツで準優勝を飾った「習志野高校」だった。“美爆音”で名高い吹奏楽部が好きだった母に連れられ、野球の応援に行った時、バトン部の存在に目を引かれた。努力の甲斐あって無事に合格。ここでもマリンスタジアムで踊るチャンスが巡ってきた。

「千葉県の高校野球は、勝ち進むとマリンスタジアムで試合ができるんです。おかげで3年間ずっとマリンスタジアムで野球の応援ができました。3年の時は部長を務めさせていただいたんですが、残念ながら甲子園には行けませんでした。でも、今年の春、私も甲子園まで応援に行ったんです。最初はやっぱり、甲子園で応援するバトン部の後輩がうらやましいって気持ちがあったんですけど、みんなの一生懸命な応援を見ていたら、自分も『M☆Splash!!』として頑張ろうっていう気持ちが強くなって、自分が応援されている気分でした」

 ロッテで習志野高校と言えば、大先輩・福浦和也内野手だ。地元が生んだヒーローは、昨年9月22日に史上52人目の2000本安打を達成。この快挙の瞬間を、“後輩”YUNAさんは逃さなかった。「明日打つかもしれない」と2戦連続で母と観戦。数え切れないほど訪れたマリンスタジアムで、初めて右翼外野席に座ったその日。2列目に陣取る母娘の目の前に、節目のヒットが飛んできた。「あれはもう、忘れられないですね」と話す口調も熱を帯びる。

 そこから半年以上が過ぎ、今ではファンと一緒にチームを盛り上げる立場になった。それでも変わらないのはマリーンズ、マリンスタジアム、そして地元・千葉への愛情だ。最後に、同じく地元愛に溢れるマリーンズファンにメッセージを寄せてくれた。

「みんなよりダンス経験の少ない私は『M☆Splash!!』で雑草みたいな存在ですが、習志野高校の校訓『雑草の如く逞しく』の気持ちで今シーズンをやっていければと思います。笑顔だけは誰にも負けない自信があるので表情に注目して下さい! 一瞬でも私たちのパフォーマンスを見てくれた方々に、勇気や夢を届けられるように頑張ります!」(佐藤直子 / Naoko Sato)

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