復活期す「マラドーナ」 大けが乗り越えアマ契約

J3のYSCCに加入したFW田場=19日、横浜市中区のYC&ACグラウンド

 かつて高校サッカー界を沸かせたスター選手が、大けがを乗り越えてJリーグデビューのチャンスをつかもうとしている。J3のYSCCに加入した田場ディエゴ(22)=国士舘大出=は日大藤沢高時代に全国4強入りを果たし、「日藤のマラドーナ」の異名を取ったドリブラーだ。「あの時よりも大きなインパクトを残したい」と、自身がブレークするきっかけとなった三ツ沢で再出発を図る。

 回復途上の右膝に配慮し、全体練習に参加するのは冒頭の数十分だけ。給与も交通費も支払われないアマチュア契約のため、実家の藤沢から横浜市内の練習場まで電車通勤する日々にも「サッカーをやれない時期が長かったんで、悪くないですよ」と明るい。

 大学4年の昨年6月、試合中に前十字靱帯(じんたい)断裂の重傷を負った。診断は全治6~8カ月。その夏、複数のJ1、J2クラブに練習参加する予定だっただけに、「絶望でした。いろんなクラブの争奪戦になることを思い描いて大学に進んだのに、全然争奪してもらえなくて」。

 プロ一本に絞っていた進路を早く決めたい焦りから4カ月後に復帰したものの、スピードと体の切れが戻らない。年明けに練習参加した六つのJリーグクラブは全て不合格。引退覚悟で受けたテストでYSCCに拾われ、「(シュタルフ)監督に『いいよ』って言われた時は泣いちゃいました」と明かす。

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