巨人菅野、進化し続ける最強右腕 史上148人目、球団16人目の通算1000奪三振の価値

巨人・菅野智之【写真:Getty Images】

1日の中日戦で史上148人目の通算1000奪三振を達成

 巨人の菅野智之は、5月1日の中日戦で、1000奪三振を記録した。史上148人目だからそれほど珍しい記録ではないが、先発投手にとっては一つの節目となる記録だ。1000奪三振は球団では16人目だ。

○巨人奪三振20傑 K9は、奪三振率。9イニング当たりの奪三振数。

1槙原寛己 2111奪三振2485回 K9/7.65
2桑田真澄 1980奪三振2761.2回 K9/6.45
3堀内恒夫 1865奪三振3045回 K9/5.51
4斎藤雅樹 1707奪三振2375.2回 K9/6.47
5中尾碩志 1597奪三振3057回 K9/4.70
6内海哲也 1496奪三振1969回 K9/6.84
7上原浩治 1400奪三振1583.2回 K9/7.96
8別所毅彦 1372奪三振2925.2回 K9/4.22
9江川卓 1366奪三振1857.1回 K9/6.62
10高橋一三 1364奪三振1766.2回 K9/6.95
11V.スタルヒン 1225奪三振2245回 K9/4.91
12新浦寿夫 1182奪三振1443.2回 K9/7.37
13藤本英雄 1100奪三振2353.1回 K9/4.21
14加藤初 1065奪三振1498.1回 K9/6.40
15高橋尚成 1032奪三振1289回 K9/7.21
16菅野智之 1002奪三振1128.1回 K9/7.99
17西本聖 985奪三振2075.1回 K9/4.27
18宮本和知 967奪三振1198回 K9/7.26
19大友工 934奪三振1571.1回 K9/5.35
20城之内邦雄 927奪三振1966.2回 K9/4.24

 巨人の最多勝投手は通算221勝の別所毅彦だが、奪三振は歴代8位の1372、昭和中期までの投手のK9は5.0前後だったのだ。昭和末期から平成になって奪三振率は上昇した。速球、カーブに加え、フォークなど空振りを奪える球種を多用するようになったからだ。歴代1位は勝利数は159勝で通算8位の槙原寛己だ。K9は7.65。

K9では上原を上回る数字を残す菅野、巨人の通算1000奪三振投手の中では歴代1位

 現役の上原浩治が7.96でこれを上回ったが、菅野智之のK9は上原をさらに上回る7.99。巨人の1000奪三振投手の中では歴代1位だ。菅野は2013年にプロデビュー、以後、先発ローテーションの柱として活躍してきたが、投球スタイルは2016年を境に変わってきている。

○菅野智之の年度別奪三振数とK9の推移

2013年 155奪三振 176回 K9/7.93
2014年 122奪三振 158.2回 K9/6.92
2015年 126奪三振 179回 K9/6.34
2016年 189奪三振 183.1回 K9/9.28
2017年 171奪三振 187.1回 K9/8.22
2018年 200奪三振 202回 K9/8.91
2019年 39奪三振 42回 K9/8.36

 菅野は入団当初は制球が良く、三振も奪え、打たせて取ることもできるバランスの良い投手だったが、2016年からK9が急上昇した。多くの三振を奪うパワーピッチャーへと変貌したのだ。最高球速も、150キロ前後から155キロへとアップ。2016年と2018年には奪三振王のタイトルもとっている。

 昨年初めて200イニングを投げた菅野は、今季は最高球速が140キロ台に低下するなど不安な部分もあったが、5月1日は125球で完投勝利。平成最初の勝利投手になった。最高球速も152キロだった。

 菅野は今年10月に30歳になる。脂がのった全盛期を迎えている。故障さえなければあと5年はシーズン150奪三振は可能だろう。巨人史上でのランキングをどこまで伸ばすことができるだろうか。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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