“笑顔特派員”スベリーさん、活動4年目 足柄地域に活力

大井町「笑顔特派員」のスベリー・マーキュリーさん=3月、大井町役場

 よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のお笑い芸人スベリー・マーキュリーさん(37)=本名・杉田宗弘さん=が、「笑い」を通じて地域活性化や健康増進を進める大井町の取り組み「笑顔特派員」として4年目の活動をスタートさせた。町民らとの交流にとどまらず、活動の場は徐々に拡大。足柄地域活性化への意欲は高まるばかりだ。

 東京都内に住むスベリーさんは週3回ほど来町している。英国のロックバンド「クイーン」のボーカリスト、故フレディ・マーキュリーさんに扮(ふん)して披露する“鉄板ネタ”は、あおむけの状態で垂直に上げた足から大福を落として口に入れる芸だ。

 活動の場は幅広い。小学校や高齢者の交流会に出向いて一緒に体を動かしたり、町をPRする短編映画に出演したり。昨年12月の町長選では投票を呼び掛ける動画をツイッターに投稿したほか、フレディの半生を描いた映画「ボヘミアン・ラプソディ」が昨秋公開されると小田原市内の映画館にゲストとして呼ばれることもあった。

 南足柄市雨坪出身で芸歴17年目。お笑いへの道を踏み出すきっかけとなったのは、地元の市立南足柄小学校4年のときだ。内気な性格だったが、担任だった女性教諭の授業は「皆が手を挙げたくなるようなムードだった」。教諭は休み時間になると「まんじゅうパンチ」と自身の尻を児童にぶつけてくるなど気さくな人柄で、スベリーさんは「人前で表現する楽しさに目覚めた」と振り返る。

 県立小田原高校から早稲田大学に進学し、アルバイトの傍ら吉本興業の養成所に通い21歳でデビュー。漫才の日本一を決める「M-1グランプリ」などにも出場してきた。16年7月には町から「笑顔特派員」に任命された。

 必ずしも「クイーン世代」ばかりでない中でネタを披露し、笑いが起きなかったときもある。1年目はぎこちない空気を感じた。だが交流を重ねる中で「人を楽しませるのはネタやギャグだけじゃない。会話だけでエンターテインメントになる」と考えが変わった。

 活動を通じ地域になじんだ現在では「子どもたちが『スベリー』と寄ってきて、ご年配の方も声を掛けてくれる」とはにかむ。2019年度もさらに幅広い発信を、と意気込む。「大井町から派生して、足柄地域全体を盛り上げていきたい」

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