平塚産の生乳を販売 若手酪農家が実現、ソフトクリームも

平塚産の生乳を使ったソフトクリームやジェラート=平塚市寺田縄の「あさつゆ広場」

 県内第2位の酪農生産地である平塚産の生乳を使ったソフトクリームやジェラートが、JA湘南の大型農産物直売所「あさつゆ広場」(平塚市寺田縄)で販売開始された。地元の若手酪農家が3年かけ温度管理や搬入方法など知恵を絞り実現。酪農家らは「ここでしか味わうことのできない平塚産の生乳をぜひ口にしてほしい」と呼び掛けている。

 市内の若手酪農家でつくる「角笛会」のメンバー8人が牧場で搾乳した生乳を使用。従来の牛乳を使ったソフトクリームでは2度にわたり熱を加えた殺菌工程を経るが、牧場から直接仕入れた生乳を使えば殺菌工程は1度で済む。殺菌工程が減ることでタンパク質や脂肪が変性せず「濃厚でありながら後味がさっぱり。搾りたての牛乳の味を引き出せる」と関係者。

 平塚市内には土沢地区や岡崎地区などに29戸の酪農家がある。県内では伊勢原市に次ぐ約950頭を飼育。年間で6千トンの生乳が生産されている。それでもこれまであさつゆ広場で製造されていたソフトクリームなどには、市内外の産地が混在した牛乳が使われていた。

 「酪農家も減っていく中で平塚にも酪農家があることを知ってほしい」と同会の片倉幸一前会長が地元産生乳を使った商品開発を呼び掛けた。しかし、専用輸送車を持つ大手乳業メーカーを介さず、酪農家が独自に生乳を出荷するには厳しく規制された温度管理や搬送方法が壁となった。

 保冷剤で生乳を10度以下に保ち、牧場からあさつゆ広場の工房まで規定時間内に搬送する独自のルールを設定。牛乳本来の味を引き出すために糖分を控えるなどの工夫も凝らした。3月下旬、原料を地元産に切り替えたソフトクリームなどの販売を開始した。

 片倉前会長は「自信を持って育てた生乳。平塚を盛り上げるためにも6次産業化などみんなで取り組んでいきたい」と話す。

 ソフトクリームとジェラートのシングルはいずれも300円。ジェラートのダブルは350円。新しくデザインされたカップ入りジェラートも販売されている。

© 株式会社神奈川新聞社