楽譜が読めなくてもOK 歌うことを楽しもう 紐育男声合唱団

MGCNYはニューヨーク地区の男声4部合唱団で、曲のレパートリーが幅広いのが特徴

毎週金曜の夜、「紐育(ニューヨーク)男声合唱団(MGCNY)」の面々がミッドタウンのスタジオに集まり練習を重ねている。

同合唱団は1991年に駐在員を中心に結成された、市内の日本人男声4部合唱団。愛唱歌はもとより、合唱組曲、ゴスペル、ドイツ語歌曲、Jポップの合唱編曲など、幅広いレパートリーを持つ。

藤原昌人さん MGCNYは今年創立28年を迎え、ニューヨークの変貌に合わせて歌う曲も変化してきました。団員は合唱以外でもよく集まって、マラソンや釣りなども楽しんでいます。駐在が終わって帰国した団員もたくさんいますが、仕事関係とは違う出会いがあり、ここで一生の友達になっていくようです。何か楽しいことを発見したい人、金曜日の夜に一緒に歌いましょう。

団長の藤原昌人さんいわく、「『世界で最もヘタ』ではない合唱団を目指しています」とのことだが、大リーグ・ヤンキースの公式戦では米国の国歌を演奏、日米合唱祭やカーネギー大ホールでの演奏経験も多い、実力ある合唱団だ。

この日は年に一度の定期演奏会に向けて、多田武彦作曲の組曲から3曲の練習が行われた。最初に発声練習を行った後、ピアノの伴奏に合わせて、まず「雨の日の遊動円木」の練習に入った。

職業も年齢も国籍も違うメンバーが一緒に声を合わせていく

「3連符のリズムはワルツのように円を描くような感じで」と、音楽監督で指揮者の山内竜志(りゅうじ)さん。トップテナー、セカンドテナー、バリトン、ベースの各パート別に、微妙な音のずれを丁寧に修正していき、「いいですね」「ベリーグッド!」などと、団員を褒めながら練習を進めていく。

団員の中には楽譜が読めない初心者も多数いる。しかし、「メロディー線は正しく音を歌うだけでは音楽にならない。フレージング(フレーズの間の区切り方で音楽に表現をつけること)が重要です」と山内さんは、難しい音楽のコンセプトについて、途中で冗談も交えながら分かりやすく説明していた。

オーディションはなく、歌が好きな男性なら誰でも歓迎

不動産会社に勤める星加ラファエルさん(トップ)は、「MGCNYの演奏会に行ったら感動してしまってすぐ入団しました。真剣ながらほど良い感じでやっているのが居心地よく、みんなで一緒に曲を作り上げていくのが、部活のようでとても楽しいです」と目を輝かせる。

製薬会社勤務でニュージャージー州から参加の矢部将哉さん(バリトン)は、「先輩に連れられてしぶしぶ参加したら面白くて、すっかりハマってしまって1年半になります(笑)。合唱はみんなで歌うものですが、ここでは自分が主役になれて楽しいです」と合唱は自分のためにやっていると言い切る。

新聞記者の滝口朋史さん(ベース)は、「飲み屋で団員にスカウトされて、じゃあ見学だけと思って来たら楽譜を渡されて、気が付いたらそのまま続けていました(笑)。男声は調和するととても気持ちいいし、ユニークな団員が多いのでとても楽しいです。僕は楽譜が読めないので、周りの歌声を聴きながら合わせています」とのことで、初学者でも気にせず参加できるのがいいという。

団員が紡ぎ出す伸びやかで美しい男声ハーモニーが、いつまでもスタジオに響き渡っていた。

The Men’s Glee Club of New York

毎週金曜日午後7時から9時にミッドタウンのスタジオ(150 W. 46th St.)や日系人会館で練習。日本語の歌が歌える男性なら誰でも参加可。見学自由。

【問い合わせ】
info@mgcny.net
http://mgcny.net/

© Trend Pot NY,LLC