ムスリム食でおもてなし 女子大生がメニュー考案 相模原

足柄SAで提供するガパオライス

 訪日が増えているイスラム教徒(ムスリム)への対応を充実させようと、相模女子大と同短大(ともに相模原市南区文京)の学生らが、ムスリム向けの料理6種を考案した。いずれもイスラム教で禁忌とされる豚肉とアルコールを未使用とした。3月下旬に中日本高速道路の3カ所のサービスエリア(SA)で提供をスタート。SAでは学生の発案で礼拝スペースも設けており、温かいおもてなしが行き届いている。

 料理を出しているのは、東名高速道路の足柄SA下り(静岡県小山町)と浜名湖SA(同県浜松市)、中央自動車道の諏訪湖SA下り(長野県岡谷市)。

 足柄ではカレーピラフとガパオライス、ピリ辛麺の3種。豚肉の代わりに鶏のひき肉を使っている。浜名湖ではカレーピラフ丼と鶏もも肉のピリ辛丼、諏訪湖では汁なし坦々(たんたん)麺を用意している。

 学生のアイデアで建物の一部を活用し、6~15平方メートルの礼拝場所も設けた。礼拝用のマットやメッカの方向を示すサイン「キブラ」も整えている。

 今回の取り組みは、同大英語文化コミュニケーション学科の小泉京美教授が、SAを管理・運営する中日本エクシスのCS(顧客満足)評価委員会の外部委員を務めている縁から生まれた。小泉教授がムスリムへの対応の重要性を指摘したことが始まりという。

 小泉教授のゼミ生が、国内のレストランで、どのようにムスリムにおもてなしをしているかを調査。ムスリムだけでなくベジタリアンにも役立つよう、外国人も食材が分かりやすいピクトグラム(絵文字)で表示することや、礼拝スペースを設置するのが望ましいことなどを昨年7月、論文にまとめた。

 一方、同短大では昨秋から、食物栄養学科1年生が豚肉とアルコールを使わないメニューを考案。外国人に好まれるスパイシーな味付けを工夫した。数十種のメニューを同社に提案し、6種が採用された。

 小泉教授によると、イスラム教の戒律にのっとったものであることを示す「ハラル認証」の取得はハードルが高い。そのため、今回は認証取得までは至っていないが、それに近い「ハラルフレンドリー」と呼ばれるメニューになった。

 小泉教授は「イスラム関係の市場規模はどんどん増えていくので対応することが重要。開発したメニューはどれもおいしいので、ムスリムでない日本人にも食べてもらいたい」と話している。

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