彦根藩・井伊家と深いつながりの焼き
「25歳のころ、青みを帯びた磁器に繊細な絵付けが美しい湖東焼に魅せられた」と話す湖東焼作家の中川一志郎さん(58歳)。井伊直弼の代に全盛を迎えていた華やかな湖東焼は、桜田門外の変に倒れた直弼の死と共に藩の御用窯も途絶えていきました。中川さんは、世界に誇れる湖東焼、そして失われた伝統文化を次世代に伝えたいとの思いから県や市などの援助を受け、昭和61年、素地や画風を湖東焼にならい、150年という時を越えて湖東焼を再興しました。
「一人でも多くの人が湖東焼に関心を持ち、物づくりの楽しさを知ってもらえたら」と店舗では磁器の販売のほか作陶体験教室も実施。彦根の歴史と文化にふれながら、自分で使うものを自分で作る体験も旅のよい思い出になるのでは。
取材:2016年12月