go!go!vanillas☆待望の4thアルバム「THE WORLD」で新境地へ――

go!go!vanillas☆待望の4thアルバム「THE WORLD」で新境地へ――

牧達弥(vo、g)、長谷川プリティ敬祐(b)、ジェットセイヤ(d)、柳沢進太郎(g)からなる4人組ロックバンド、go!go!vanillasが約2年ぶりとなる4thアルバム「THE WORLD」を5月15日にリリースする。アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」のエンディング主題歌となった「No.999」をはじめ、収録された13曲は、いずれも躍動感と疾走感を併せ持つサウンドに、甘くキャッチーなメロディーが融合した痛快なロックナンバーに仕上がっており、バンドの充実ぶりを雄弁に物語る仕上がり。今回は長谷川が事故により療養中のため、牧、セイヤ、進太郎の3人に、作品へ込めた思いと、3人での活動が続く現状について聞いた。

──『THE WORLD』は約2年ぶりのオリジナルアルバムとなりますが、制作はどのように進めていったのでしょうか?

セイヤ「牧が曲の大本を作ってきて、それに対して、僕らは曲を理解して形にしていきました。今まで通りのやり方ではあるんですけど、今回はより4人で作ったという意識が強いです。これまでは、こんなふうにやってやろうという自分のこだわり、エゴがあったんですが、今回は自分の考えに固執するのではなく、みんなの意見も聞きながら進めていきました。自分が演奏したドラムなんだけど、自分だけの力ではないというか…個人プレーじゃなくてバンドの演奏になったと言えばいいのかな」

進太郎「僕は機材オタクなので、ギターやアンプを買うと、新しいものが一番愛おしくなっちゃうんです(笑)。でも、それが果たしてバンドにとって良い音になっているのかなと疑問を感じて。それで、今回はみんなでディスカッションして、どの楽器を使ったら、その曲が最も良くなるのかをコンセンサスを取りながらレコーディングしました。実は、1966年製のヴィンテージギターを買ったんです。でも、それは曲に合わなかったので他のギターでレコーディングしようとしたら、牧さんが『あれ、使わないの?』って気を遣ってくれて(笑)」

「気を遣いましたよ(笑)。『せっかく買ったのに、いいの?』って」

進太郎「“でも、これじゃない気がします”って言って、結局使いませんでした。新しい挑戦といえば、ソロだけ違うギターを使うとか、場面ごとに楽器を変えたりもしています」

「アルバムが完成して思うのは、自分が暮らしている中で感じる疑問や怒り、そして、それを踏まえて感じる“大切さ”というものを,かみ砕いて表現できたんじゃないかということですね。サウンド的には、ジャンルを超えたもの、ノーボーダーなものになったと思います。タイトルの『THE WORLD』はアルバムが完成してから決めたんですけど、誰もが持っている“心の中の世界”というのが今作の一つのテーマだったんです。“ノーボーダーで、みんなの生活の中、心の世界に溶け込んでいける音楽”というような意味を込めてつけました」

──曲を作る上でこだわっている点はありますか?

「今回の収録曲に関して言えば、すごくメッセージ性が強いと思います。例えば、街頭演説で強い言葉を発したり、世の中に物申すと、なんだか高圧的になったりするじゃないですか。でも、ネガティブなことや、もしかしたら人を傷つけてしまうような強い言葉でも、音楽に乗せることで、捉え方が変わるような気がするんです。ジョン・レノンが“War is over”と歌ったり、ロックの歴史の中で多くのミュージシャンが、世の中の不満をぶつけてきて、それに世の中の人が共感したり、勇気をもらってきたという流れがあるわけで、やっぱり音楽には無限の力があるんだと思う。普通なら届かないところまで届くパワーもある。曲だけ聴いたら、甘いロックナンバーに聴こえても、その中に含まれている言葉に、何かを感じてもらいたい。ちゃんと音楽を楽しみながら、一つでも何かを考えさせられたり、行動につながったりしたらうれしいなと思って曲を作ったんです」

──go!go!vanillasはシャッフルビートの曲が多いように思うんですけど、それは意図的なものなのでしょうか?

「意図したものではないですね。僕は跳ねるリズムの歌が好きなので、曲自体のリズムもそれに寄ってしまう。歌のノリ重視で考えると、結果的にシャッフルになることが多いんです。それが僕のクセであり、僕らのカラーでもあると思いますね」

セイヤ「僕があえてシャッフルにしちゃうことも多いですね。でも、ノレるリズムにしたいなと思うと、シャッフルになってしまうんですよ」

──新作の完全限定生産盤には13曲収録されていますけど、それぞれ思い入れのある曲はありますか?

「『Do You Wanna』をおすすめします。“悪い女”の歌なんですよ(笑)。いやいや、セクシーな女性の歌っていう意味です。男性を翻弄(ほんろう)して、引き際が見事な女性ってひかれるじゃないですか。そういう大人の女性に憧れるという思いを込めた歌なので、ぜひ!」

進太郎「僕は『パラノーマルワンダーワールド』。自分のイメージした音に録れたんです。始まりのギター・リフの時点で、はぁ~、いい曲だって思えるように録ったつもりなので、ぜひ聴いてほしいです」

──進太郎さんが作詞作曲した「ワットウィーラブ」じゃなく?

進太郎「まったく問題ないです(笑)。今まで、こういう時に自分の曲を挙げたことないですよ(笑)」

セイヤ「僕の今日の気分は『NO NO NO』かな。『平成ペイン』という曲があるんですけど、実は、裏テーマとして、それにつながった曲なんですよ」

「僕らが描いた明るい世界、未来はこういうものだったのかと問いかけている曲でもあるんです。曲調はすごくポップなので、ギャップのある曲だと思いますね」

──現在は長谷川さんが療養中で、サポートメンバーを迎えてのライブや、3人だけでのライブとイレギュラーな形が続いていますが、あらためて気付いたことはありますか?

「あらためて人のつながりを感じました。サポートしてくれたベーシストたちには本当に感謝しています。みんなライバルであり、仲間でもあるんですが、それぞれに自分のバンドが忙しい中で助けてくれた。それって並大抵なことじゃないですよね。それと同時に、そういう人たちと出会えたことも、彼らが、僕らの音楽を好きだと言ってくれたことも、結局、自分たちが作ってきた音楽のおかげだと思うんです。自分たちの音楽をちゃんとやってきたからこそ、そういう関係が築けたと思うので、そこは大きな自信になりましたね」

進太郎「僕は、単純にすごいなと(笑)。助けてくれたベーシストたちもそうだし、自分たちの曲にもそう思いました。バニラズの曲は、こんな状況になっても自分を奮い立たせてくれる。大丈夫だ、頑張れって自分たちの背中を押してくれるんです。窮地に立った時にちゃんと自分たちに響く音楽だったと実感しましたし、それがやっぱり自信にもなりました。それもあって、先日のライブでは、サポートを入れずに3人でやったんです。プリティさんは、いないけどいたんですよ。彼の音は鳴っているので。なんというか、彼が戻ってきて100%になった時の姿を想像できるライブになった気がします。彼が戻ってきたら、バニラズはもう1ステップ上がれる気がして、今はその準備を3人でやっているんだ、そんな気持ちになりました。希望が見えたライブでした」

セイヤ「ライブはギブアンドテイクだと思っていて、僕らも与えるし、そうすると観客から返ってくるものがある。そういう相乗効果をあらためて感じながら、今はライブをやっています。それから、バニラズに関わってくれる人たちには、幸せになってほしいといつも思っているんですけど、それもあらためて感じました。最終的には“愛”かなと(笑)」

──メジャー進出してから5年に迫ろうとしていますが、活動を続けてきた中で、音楽に対する気持ちは変わりましたか?

進太郎「できることは増えましたよね。レコーディングに関して言えば、昔は宅録だったものが、今はスタジオで録っていて。今作でも、あえて宅録にしている部分もあるんです。その音の方が良いと思えばそうしています。宅録で使っている機材のグレードも上がっていますし。もともとはアナログなバンドでしたけど、宅録とスタジオで録った音をハイブリッドさせたりとか、新しいものと融合することで、新しいロックンロールを生むバンドになってきているんじゃないかとは思います」

セイヤ「自分たちがやりたいと思うことをやれる状況も作ってきたしね。でも、そういう意味では日々、ターニングポイントの連続ですよね。レコーディングでもツアーでも、日々の生活でも、毎日気付くことがあるので」

「僕らの曲を聴いて、何かを感じてもらいたいし、楽しんでもらいたいし、感動してほしい。そのためのアプローチの仕方のバリエーションは増えていると思います。音楽をたくさん聴いたり、人生経験も積んでいるわけで、日常生活の中の会話でも、何かを感じている。それを音楽として表現したいという気持ちは尽きないです。そういう気持ちがどんどん湧いてくるというのは、良い時間を過ごせているということだと思います。音楽に対する思いはどんどん増していますね」

【プロフィール】


go!go!vanillas
東京で結成された4人組ロックバンド。2013年にインディーズから7インチシングルを発表し、翌’14年にメジャーデビュー。5/15(水)には4thアルバム「THE WORLD」をリリース。5月末からは全国ツアーが控える。現在、長谷川プリティ敬祐が事故により療養中。

牧達也(まき たつや)
’89・12・10大分生まれ。射手座。A型。

ジェットセイヤ(じぇっと せいや)
’90・1・15長崎生まれ。山羊座。B型。

柳沢進太郎(やなぎさわ しんたろう)
’92・8・20秋田生まれ。獅子座。B型。

【リリース情報】


4thアルバム「THE WORLD」
5/15(水)リリース
¥3,996(CD+DVD/完全限定生産盤)
¥3,024(CD/通常盤)

【プレゼント】


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ハガキでの応募方法は「TVガイド」5/17号(P98)をご覧ください。
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取材・文/竹内伸一 撮影/岡本武志

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