鷹の走塁改革が進行中 周東ら台頭で盗塁増加 本多C「走ろうという意識が勇気に」

ここまで盗塁成功率100%を記録しているソフトバンク・周東佑京【写真:藤浦一都】

2年目の周東がここまでチームトップの9盗塁、成功率100%

 宮崎春季キャンプから走塁改革に取り組んできたソフトバンク。開幕当初は盗塁失敗も多かったが、周東佑京内野手の1軍昇格を機にようやく形になりつつある。

 本多雄一1軍内野守備走塁コーチから「鷹のスピードスター」の称号を譲り受けようとしている若鷹がいる。今季支配下登録されたばかりの2年目の周東だ。4月6日に1軍昇格を果たすと、9日の日本ハム戦でプロ初盗塁を記録。4月29日から5月6日にかけて8盗塁と走りまくり、チームトップ、リーグ2位タイの9盗塁にまで伸ばした。

 オープン戦では1つも盗塁成功がなく3つの盗塁死を喫したが、公式戦ではここまで成功率100%。6日のオリックス戦では川島の本盗による“アシスト”に助けられたが、それも塁間での粘りがあったからこそだ。

 本多コーチは「オープン戦でも思い切りの良さはありました。公式戦になってなぜ成功しているのは私にもわかりませんが、1つは思い切りの良さもあるでしょうし、オープン戦の失敗を成功につなげていると思います。アウトになったことを突き詰めること、細かなことを選手自身が感じることが大事。周東とは『走りやすいように試合の流れを把握していこうよ』と話をしています」と語る。

盗塁だけでなくヒットエンドランなどの機動力も駆使

 周東だけではなく、川島、柳田、上林が4盗塁、牧原が3盗塁、今宮、甲斐、三森が2盗塁と続き、チーム盗塁数は西武の38盗塁に続くリーグ2位の34盗塁だ。「全員が全員、走る意識を持つことが大事。慶三さんにしても、走ろうという意識があるから盗塁できる。走ろうという意識が第一歩目の勇気につながると思うんです。走る人が少ないと思うかもしれませんが、意識一つで走れる人は増えてくるんです」と本多コーチは語る。

 走塁改革は盗塁に限ったことではない。壮絶な打ち合いとなった3日の楽天戦では積極的にヒットエンドランを仕掛けて得点に結びつけていった。工藤公康監督はヒットエンドランについて「その方がバッターも踏ん切りがついてしっかり振ることができる」と打者への効果も口にするが、これだけ足を使った仕掛けが多ければ相手バッテリーにとって大きなプレッシャーとなることは確かだ。

 グラシアルは復帰したが、柳田や中村晃の復帰は未だに目途が立たず、上林は右手の剥離骨折が判明。今宮や内川、デスパイネも不安を抱えながらのプレーが続く。まだまだ試練が続く中、鷹の走塁改革は着実に進行している。(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)

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