元中東系CAが解説!今イスラム教圏に旅行するなら知っておくべきラマダン基礎知識

「ラマダン」って何?

ラマダンとは、イスラム教における断食月のこと。地域によっては、ラマダーンと伸ばして発音します。

イスラム歴の9月のことを指します。

イスラム歴は、太陽暦より11日短いので、毎年ずれていきます。

この約1か月間、イスラム教徒は、日の出から日の入りまで、断食をします。

敬虔なイスラム教徒は、つばを飲み込むことさえもしません。

このラマダン、なんとなく聞いたことがあるものの、ちゃんと理解している人は少ないのではないでしょうか。

イスラム教圏が多い東南アジアはもちろん、旅行先としてドバイなど中東の人気も高まってきた今だからこそ、旅行客でも知っておくべきラマダンの基礎知識を解説いたします。

 

なぜ、断食をするの?

イスラム教では、5つの義務・「五行」があります。

その五行とは、

・シャハーダ(信仰告白)

・サラート(礼拝)

・ザカート(喜捨)

・サウム(斎戒)

・ハッジ(巡礼)

を指します。

つまり、イスラム教徒はこの5つの義務・「五行」を遂行しなくてはいけないのです。

4番目のサウムと呼ばれるものが、ラマダンの期間に行われる断食のこと。

正確には、食事、水分摂取、喫煙、性交渉、悪口、けんかなど、全てNGです。

辛そうなイメージですが、イスラム教徒にとっては待ちに待った素晴らしい1ヵ月なんです。

「ラマダンカリーム!」(ラマダンおめでとう!)

「ラマダンムバラク!」(素敵なラマダンを!)

「ハッピーラマダン!」(幸せなラマダンを!)

イスラム教のお友だちがいらっしゃったら、ぜひ、上記のようなお祝いの言葉を伝えてくださいね。

 

ラマダン中によく耳にする「イフタール」って何?

ラマダン中、日の入りをむかえ、最初に口にする食事のことを「イフタール」と呼びます。

機内でもラマダン中 のイスラム教の国へのフライトでは、「イフタールボックス」を用意しています。

こちらは、機内では時間の関係で食事ができないお客さまのために、持ち帰って食べていただくもの。

中身は、ヨーグルトやデーツ(なつめやし)などおなかに優しいものが中心です。

 

 

ラマダン期間の旅行で気をつけるべきことは?

 

日の出や日の入りに合わせて、レストランやカフェ、デパートなどの営業時間が変わることが多いので、事前に調べておくことが必要です。

「お店もレストランも閉まっていて食べものが何もない!」なんてトラブルも起こりかねません。

ほとんどの国では、旅行者やイスラム教以外の人に、断食は求められません。

それでも、日中公共の場での飲食、喫煙は、できれば配慮してください。

サウジアラビアなど一部の国では、国外追放される場合もあるので、旅行先の地域のルールをしっかり調べてから旅行するようにしましょう。

また、イスラム教の国は暑い国が多く、薄着になりがちです。しかし、ラマダン中は特に肌の露出を控えましょう。

 

ルールを守ってラマダン中の旅行も楽しんで

ラマダン中の旅行は色々と不便なことが多いと思います。

けれど、日没後は毎日お祭り。

家族も旅行者も分け隔てなくもてなしてくれる大らかな人が多いので、ラマダン独特の雰囲気を楽しむことができます。

その国の文化に配慮して、今だからこそ経験できる最高の時間を過ごしてくださいね。

 

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